第744話 22枚目:ステージ開始
さて準備については大分気合を入れて用意をして、インベントリにも必要な物以外は球体に削りだした宝石の入った箱を詰め込み、空の「人工空間獣の種」を神殿で捧げて貰ったアイテムバッグを追加装備しての挑戦だ。
9回目になる訳だが、私の初期位置が洞窟なのはもう分かり切った事なので、そこから通路を拡張しかき氷を配り
で、問題なのは、通路を殴り抜く事で「このステージには
「いきなり山に穴が!?」
「ちぃ姫だわ!」
「ちぃ姫だ!」
「ちぃ姫と同じステージ!」
「サンキュー乱数の女神過去一感謝してるっっ!」
「ぃやったぁああああああああああ!!」
…………まぁ、味方ではあるし、実力者でもあるな。『可愛いは正義』の人達は。もしかしたらそれ以外の可愛い好き
けど、これは、もしかしたら、今までとは別の意味で、身動きが取り辛いかも知れないなあ……。
無事エルルとサーニャを呼び出す事が出来て、南へ続くトンネルも掘り終わり、光の柱の設置も終わってから、
どうやら可愛い好き全員集合のパターンだったようで、撮影されている気配こそ無いものの待遇が凄い。下にも置かないってこういう事かな? 中身が一般人だから全く落ち着かないんだけど。
でも全力の好意と善意(と趣味)だし、エルルとサーニャが満足そうだから断る訳にもいかない……! こんな形の苦行が待ってるなんて思わなかった……!
「うふふ~。2回目のステージぶりね~」
「クカカカ、儂の方はあの亜空間ぶりじゃのう」
なんて思いながら、全力で皇女ロールを維持しながら案内された先で待っていたのは、すっかり寛いでいる様子の「第五候補」と「第二候補」だった。わぁ。精神的にも肉体的にもオーバーキルになる組合せがいる。
もちろん2人と一緒に行動している(行動したい)元『本の虫』組の人もいるし、少し離れた席についている微妙に見覚えのある男の人は、たぶん「第五候補」の支援クランである『妖花の僕』の代表者だろう。
で、どう見てもチンピラっぽい格好をした男の人は意外なほど大人しいらしく、カバーさんとスピンさんに『可愛いは正義』の代表者さんも揃っている。なるほど、ここが今回のステージの司令部だな?
「お待たせしましたか?」
「いえ、大丈夫ですよ。こちらも当面の手配をしていましたので」
「そうね~。やっぱり~、連絡は取れていても~、直接話すのは違うわ~」
「全くじゃのう。それに、あの掲示板と言うのはどうにも慣れんわい」
案内された席につきながらそう声をかけるが、そんな反応が返って来た。……カバーさんは相変わらず仕事が早いとして、「第二候補」はこれ、何か割と重要な事を伝え忘れてた気配がするんだけど?
とは言え、今そこをつついている場合ではない。雑談しながら「第五候補」が上手くその辺引き出してくれていることに期待しよう。今は、ステージ及びレイドボスの攻略に集中しないといけないし。
「さて! それでは皆様お揃いになられましたので、作戦会議を始めたいと思います! 司会進行は私、スピンが務めさせていただきます! よろしくお願いします!」
コミュ力が高いスピンさんが音頭をとって会議が始まった。まぁ話を進めるのは主に元『本の虫』組の人達と、大手クランの代表者さん達であり、特級戦力である私達は主に聞いているだけなんだけどね。
で、なんか格好の割に大人しいチンピラさんは、どうやら前回以前のステージで「第二候補」に性根ごとボコボコにされた人の1人であり、「第二候補」から同じ待遇の
恐らく最初期の「第二候補」の席と同じく、空いていた同盟枠の最後の1つに収まるのだろう。しかしド直球なクラン名だな。「第二候補」的には、あの決意表明インタビューで言葉にした通りを実行したんだろうけど。
「やっぱり人数が多く練度も高いと出来る事が増えていいですね!」
「ふふふ、ちぃ姫がいるんだもの。もちろんクランの全力で貢献させてもらうわ」
「女王様の為なら生贄役であろうともご褒美であるのが我々です」
……若干強火が過ぎる決意表明が聞こえた気がするが、うん、連携して仲良く動いてくれるんなら、それは素晴らしい事だ。『武道』の代表者さんからは言葉が無かったが、少なくとも一般
で、大体決まった配置は、「第五候補」が連絡役と魅了由来のバフをかける役目で島中を移動して回り、「第二候補」が巨大な氷を作る為に海の上へ。私は空間異常の解消における最後の一押しである宿光石の鉱脈に光を叩き込む役目、兼夜の間にレイドボスを引き付けておくために、基本島の上空に居る事になった。
他の動きとしては、戦士系の
「それでは! 異論も無いようですので、当面の動きとしてはこれで決定と致します! もちろん何か大きな変化があった場合は別ですが! それとこの場に居る皆様には、大神の加護に代わって連絡を取る為に、こちらをお貸しいたします!」
で、その会議の最後に配られたのは……黒と白の混ざり合わない液体の入った、やけに丸く平たい小さなガラス瓶だった。大きさは丸い部分で直径3㎝ほど、厚みはガラス部分も含めて2㎝ほどだろうか。
「こちら、ガチャから出現した便利道具の1種でして、相互通信できるラジオのようなものなのです! 周波数は瓶の口に見える部分で変えられますが、現在は既に調節済みで固定もしているので、触らずそのままお使いください!」
どうやらそんなものがあったらしい。……私は知らないけど、もしかしたら既に出て来てて、カバーさん達が管理していたのかもしれない。情報を守るという意味では、ちょっと色々ガードが緩い気配がするし。
でも遠隔で声による連絡が取れるって言うのは大きいな。メールもウィスパーも使えないから、その不便さは嫌と言うほど思い知っていたところだ。
……レイドボスを削り切るとなれば、広域での連携は必須だしね。
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