第710話 22枚目:状態確認
脅威には対処したし、やるべきことはやったと言う事で、5回目のステージはさくっとそのまま終了した。しいて言うなら5日目の夜の最後に見える姿が、前回よりちょっとくっきりした感じがするぐらいか。
直後のログインではもちろんステージの報告、主に邪魔してくれた要注意団体について説明及び共有しておく。主にPK集団を撮影したスクショもそのまま共有だ。
で、個人的な問題であるマリーの事だが、こちらはこちらで、というか、恐らくイベント時間後に、マリー自身が話をしてくれていたのだろう。本人はログインできていない様子だったが、うちの子は皆優秀なので。早速連れて帰って来てくれた。
「……子猫はマリーとして、蝙蝠でしたか」
多分お辞儀をしようとして転んだ、マリーと一緒に居たという姿は蝙蝠だった。本来の姿のルディルより一回り大きいだろうか。一応分類的には鼠族らしく、ルディルとルドルが同族補正で話を聞けるのは幸いだった。
通訳をしてくれたルドルによれば、名前はバトラーさん。まんまだな。リアルもこちらも男性との事で、リアルでもマリーの身の回りのお世話をしているらしい。うん。そのまんまだな。
で。彼が言うにはもう1人、女性の付き人というか、メイドさんが来ている筈なのだが、まだ合流できていないらしい。というか、実はそちらのメイドさん、リアルで話をしてみた所、ランダムで引き当てた種族が、だな。
「冷人族ですかー……」
「それは合流できないのもしょうがねーっすね……」
人間種族は人間種族なんだが、まぁ、その、たぶん今の所、他の場所に行くのに一番時間がかかる種族だろうっていうところでな……。もちろんマリーもバトラーさんも『スターティア』から出るどころか、自分の身体を満足に動かす事も出来ない状態で、合流も何もないらしい。
ちなみに冷人族についてだが……寒い所に適応している分、暖かい所に行くハードルが高いのはもちろん、あの冷気を操る力って言うのの制御が難しく、感情で簡単に動いてしまう上に加減が難しい類で、制御するには訓練あるのみ、っていうやつなんだ。
簡単に言ってしまうと、まぁ、言葉が通じるだけの魔物種族って言われる程度には難易度が高いんだよ。序盤の。もちろんちゃんと育って制御が利くようになれば、滅茶苦茶強いのは間違いない。
「とは言え、マリーとバトラーさんの方から向かうには、それはそれで無理があるでしょうし。……それ以前に、普通に動けるようにならないとどうにもなりませんし」
「そっちも慣れるしかないっすもんね。まさに習うより慣れろ」
うんうん。と、主に飛ぶのに苦労していたフライリーさんが、同じく飛ぶことが出来る種族である蝙蝠なバトラーさんを見て深く頷いている。そうだね。今のように飛べるようになるまで、相当練習したからね。
で、一応バトラーさんに、今後の事と、マリーがフリアドを始めた理由を聞いてみたんだよ。それによって、『アウセラー・クローネ』という特級戦力集団に招くのか、それとも頑張ってと送り出すのかが変わって来るから。
「……こっちの子猫ちゃんがぁ。マスターの神様を追いかけて、マスターがこの世界に来てるだろうからぁ、合流したくて張り切ってたって言ってるよぉ」
「向こうでも護衛の必要がある立場だから、狙われるのは分かり切ってる事だし、それならいっそ最初から狙われる前提で色々揃ってる場所の方がありがたいって言ってるな」
…………ちょっと照れるが、まぁそういう事なら問題無いだろう。一応「第一候補」達に連絡を入れて、マリーが
部屋の数は多めに作ってあるし、そもそも今は大きさが大きさなので、さほど問題は無い筈だ。美猫なんだからソフィーさん達も反対しないだろう。リアル(?)友人というのはともかく。
【飛行】持ちがそれなりにいるので、バトラーさんの【浮遊】からの飛行訓練もスムーズに行く筈だし。魔物種族の方が多いので、【人化】の練習やコツもたくさん教えられる筈だ。
「まぁその辺りの基本的な部分は、魔物種族のクランに入ればどこでも教えてくれるでしょうけど」
「それはそうでしょうが、やはり得手不得手はあるかと。それに設備や装備の事もありますからね。そうでした。『蜘蛛糸裁縫店』に連絡を入れておきましたので、彼女たちが【人化】出来るようになったらこちらへいらっしゃると思います」
「ありがとうございます。……うん?」
待って。アラーネアさん、今超忙しいんじゃないの。
それがこっちに来るって、待って。大丈夫なの色々な意味で!?
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