第711話 22枚目:準備着々
何だか私関係だとやたらフットワークが軽い気がするアラーネアさんに心配と疑問、を、合わせて倍にしたぐらいの感謝を覚えつつ、それでも可能な限りの時間を生産作業に費やして、夜の日常を過ごして6回目のステージだ。
島の形は、たぶん半分を超えた所だろう。スピンさんが言っていたように、恐らく明日にはレイド戦に入れそうだ。というか、入れないと間に合わないと言うべきか。
ちなみにそのステージでは「第四候補」と一緒になった上、『ワンマンアーミー』という「第四候補」リスペクトな同盟クランのメインメンバーが揃っていたので、もう大詰めだしと大技で荒稼ぎする事にした。
「いやー、やっぱ「第三候補」が居ると規模の桁が変わるな!」
「そりゃそうでしょうね。リソース及び出力的な話で行ったら、私達が文字通り頭抜けてるでしょうし」
具体的な内容としては、「凍て喰らう無尽の雪像」にやったスライム爆撃に近い。どうやら杖を使い込むことで更に進化したらしく、複合属性のスライムを召喚できるようになったらしいんだ。
で、氷と闇の属性を持つスライムを召喚して、罠属性の付与と自爆する為の核を追加。“影の獣”に触れたら爆発する、という命令をしてから谷に放り込んでみると……罠属性の、真っ黒くて巨大な氷が出来上がる訳だ。
ちなみに『ワンマンアーミー』の人達もそれぞれ工夫して似たような事が出来るらしく、昼の間はずっと核に魔力を込めていた。夜は爆破の時間なので、その間は精霊獣の救出だ。
「しかし、笑えるぐらいの種が手に入りましたね」
「数は力だからな! 一部例外はあるけど!」
ちなみに、リソースという意味では現地竜族の人達も結構なものなので、説得して協力してもらったよ。いやー、すごかった。試しに山頂から南側の斜面にかけて投下してみたら、超巨大な積乱雲へのちょっかい出しが一時的に阻止されたぐらいだ。
これはレイドボス相手にも使えるかも、という事で、その後日付変更線が変わるまでと、翌日午前中のログインは「第四候補」の島に行って核を作るお手伝いをする事に。もちろんエルルとサーニャも一緒で。
あぁ、あと、それだけの数を稼いだかいはあったのか、私達が持ち帰った種からヘルマン君の家族が出てきて、無事一家が揃ったよ。兄弟姉妹も全員いるとの事で、一安心だ。
「しかしどうしましょうか、この大量の野生動物」
「これはもう、それこそまた島を大きくするか、いっそ他の島に放つしかないんじゃないか?」
「……お金はありますし、捧げものでも余程特殊でなければ揃えられますし、一応「第一候補」に相談してみましょう」
なんで「第一候補」かっていうと、こういう人の手の入ってない土地や場所の利権って言うのは、基本的に神様が持ってる物だからだ。開拓するには神様の許可というか、神様から土地の権利を貰わなきゃいけない。
とは言え、「第一候補」も結構な数の野生動物を抱えるのが目に見えている。もちろん「第四候補」も「第五候補」も以下同文だろう。私はまだ同じステージになっていないのだが、「第二候補」も掲示板で話を聞く限りは同じような状態だ。まぁ、あっちは現代竜族に任せるって手が使えるけど。
なので相談した結果、クランとしての出費、という形で、近くにあるそこそこ大きな無人島を「第一候補」経由で購入する事になった。流石に土地が足りないからね。
『海神としても、幾ら周囲への影響がないとはいえ、島を大きくされるよりは今ある島を使う方が良いであろうしな』
「他に手段が無いなら仕方ありませんけど、他に手段があるならそちらをとりますよ。数に限りが無いとはいえ、正真正銘の神器を消費するんですから」
そしてそこから更に相談した結果、ヘルマン君一家を含む、種から出て来た
あと、こっちには
一応予定としては、古代竜族の竜都が解放されたら、そっちに合流するつもりとの事。イベント空間がどのくらいのタイミングかは分からないが……流石に、世代がいくつもずれる、って事は、無い、と、思いたいんだけどな。
「……ま、こればかりはいくら考えても分かりません。少なくとも、現代竜族の竜都に合流するよりは、ずれが少ない筈ですし」
結局、あの世界規模スタンピートが起こったのがどれくらい前かって言うの、未だに分かって無いんだよな。ことごとく資料がやられて失伝していたり、眠っていたり、封印されていたりで。
これも現代竜族に合流すると分かる情報なんだろうか。ステータスの暴力だけあって、かなり長命な部類に入る筈だし。少なくとも現代まで竜都としての形が残ってるって事は、資料関係もしっかり保管されている可能性が高いし。
「あれ? そう言えばその辺「第二候補」は聞いて無いんですかね?」
……。
…………。
うん。聞かないだろうな。
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