第613話 22枚目:イベント開始
っで、時間になってログインしたんだが……。
「うっわ、何も見えない」
相当に久しぶりの、視界が全く利かない状態だ。【暗視】が入ってからは、下手すれば暗い方が見えやすい時期すらあったからなぁ。全く何も見えないっていうときはどうすれば良かったんだっけ。
感知系スキルも全部無くなってるからなー。とりあえず、すり足で足場を確認してみよう。んで、足に当たった物を確認だ。しまったな。色んな意味で絶対必須だと思って【鑑定☆☆】を入れたけど、見えないと発動できないんだよな。条件が目視する事だから。
と、いきなり足に何か当たったな。危ないものかもしれないし、しばらくつついて動かないのを確認して……動かないな。そんで固いな? とりあえず拾ってみよう。
[効果を開放するスキルを選んでください
・
・
・ ]
「!?」
途端、真っ暗な中にそんなウィンドウが出現した。どうやら今拾ったこれは、スキルの上限解放アイテムだったようだ。全く見えないけど。
とりあえず視界が無ければどうしようもない、と、まず【暗視☆】を選択。話が通じないとまずい、と【魔物言語】を選んで、少し考えて【光古代魔法】を選んだ。決定と。
ウィンドウが消えると同時に、一気に視界が広がっていく。うん、いつも意識せずに見えてる範囲ぐらいは見えるな。ステータスを持て余しているのが露呈してしまったが、まぁそれはそれとして……。
「……また墓場系の洞窟ですか……」
ちょっとぐらい顔を引き攣らせてもいいと思うんだ。何せ足元には、夥しい数の、何らかの骨が転がっていたのだから。そして上を見上げれば、何か結晶の様なものがつららのように垂れ下がっている。
【暗視☆】による視界はお手頃価格の赤外線カメラのような白黒なので、実際の色味は分からない。黒に近いから、色が濃いんだろうなとは思うけど。白くはないな。たぶん。
で、と手元に視線を戻してみると、私が拾ったのは、どうやら持ち込んだ上限解放ナイフとほぼ同じもののようだ。つまり、見た目と感触は石っぽいのに、重さは骨かプラスチック、切れ味と丈夫さは金属並という謎物質で出来ている。
「これの正体も気になりますが、イベントアイテム、以外の表記が無いので諦めるとして……」
探索の前に、この場所を調べてみよう。確かに思うところが無い訳ではないが、サバイバルという状況において、空気の淀みが少なく大きな洞窟っていうのは貴重な拠点候補だ。
ただのお墓ならともかく……いやそれもあんまり気分は良くないけど、ここに転がってる骨が毒ガスかなんかで全滅した結果、とかだったら危険だし。という訳で、片っ端から【鑑定☆☆】していこう。
【暗視☆】で見える範囲で、足元から順番に骨を拾っては【鑑定☆☆】していく。そしてそれらはほとんど、最初の大陸でよく見る動物のものだった。人間種族や魔物種族の骨は、ほぼ無い。
[アイテム:何らかの毛束
説明:何かの生物の毛が束になったもの
酷く傷んでいて、本来の性能は発揮されていない]
……ほぼ、であって、こんなものも混ざっていたりしたんだけど。なにこれ。【暗視☆】で見ると白っぽい。傷んでいる、という表記の通り、触った感じはガサガサだ。
ただ、長いんだよな。それこそ、今の私の髪の毛ぐらいはあるだろう。そして最初の大陸に居る生き物で、そんな長毛の動物は確認されていない、筈だ。確認されてたら、もふもふな動物って事で覚えてるだろうし。
と、なると……。
「やっぱりまたなんかシナリオ突っ込んで来たか
ま、歪みの大元が氷の大地にあるのに、少なくとも現状分かる範囲の環境が最初の大陸に近いって時点で何か妙だなとは思ったけどさ。
とりあえず、ちょいちょい骨の中にイベントアイテムが混ざってるみたいだから、まずはそれの回収だな。もし何かあるとしたら【古代言語】や【神話言語】は絶対必要だし、環境が激変するなら【環境耐性】は早く持っておかないとまずい。
……魔法スキルは、一応【○○精霊魔法】を優先しようか。何かあった時、精霊さんに聞いてみるって選択肢が取れるのは大きいだろうし。種族レベルを上げるって意味だと、各種因子スキルが一番なんだけど。
「アイテムを呼び出すイベントアイテムを腐らせない為にも、【絆】と【契約書式】は必要だし。各種耐性スキルやふんばり系スキルも保険としてあった方がいいに決まってる、と、やっぱりいくらあっても足りないな」
サバイバルという名目だからか、それともこの場所のバックストーリー的な都合か、掲示板やメールやウィスパーが使えないんだよね。オートマップは使えるけど、出来れば別で地図を作っておいた方が良いだろう。
……準備期間に頑張って【測量】を取っておいて良かったよ。細かい作業に入るからか、あんまりレベルは上がらなかったけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます