第550話 20枚目:罠の解除()
そんな訳で、残り時間は見えてきたが探索続行だ。邪神の気配っていうのはどうにも、あちこちに仕掛けまくられているモンスターが出現する罠や、それと連動する状態異常を積み込み続ける矢や槍が源になってるみたいだけど。
そもそも、あのゲテモノピエロがそれらしい何かを残してるっていうのがまずありえないと思うんだよなぁ……。あったとしたら誘導かミスリードか罠じゃないか、って真っ先に思うぞ私は。
でなきゃここまで苦戦して、後手に回って、いいようにされるもんか。あの『本の虫』の人達でさえそうだったんだから、その辺初歩的なミスなんてする訳が無いだろう。
「ま、流石にこの、とびっきり殺意の高い罠を、真正面から受けてほぼ平然としてるとは思っていないでしょうけども?」
『それはそうであろうな。我も驚いている』
罠をわざと踏み抜いて、飛んで来た矢を刺さる直前で掴み取り、そのままインベントリに叩き込む。タイミングにもだいぶ慣れて来たから出来る芸当だな。結果として私自身のダメージというか被弾は減っているので、エルルは頭が痛そうにしながらもお説教を引っ込めてくれた。
だからサーニャも早く慣れて欲しいな。見えてるからね、私が「第一候補」の指示で罠を踏み抜きに行くと、あわあわしながらこっちに注意を向けるせいでエルルとの連携が崩れてるの。
「無理!!!」
「諦めろ、アレクサーニャ。覚悟決めたお嬢には誰が何を言おうが無駄だ」
「だから君は諦めるのが早いよエルルリージェ!!」
「お嬢に関しては諦める以外どうしろってんだ。言えばいう程変な方向の努力を重ねるんだぞ」
本当に散々な言われようだが、とりあえず今はスルーしておこう。少しでも罠を解除しないといけないからね。出来れば1つ残らず無力化出来ればいいんだけど、時間的な問題もあるし。
罠と言えば、モンスターのポップ罠はあれ、使われている「実体を持った負の感情」を消費してモンスターを召喚、あるいは具現化しているらしい。つまり、決められた数のモンスターを倒すともうそれ以上は出なくなるみたいだ。
一応見つけた範囲の魔法陣と、そこで出て来たモンスターの種類はメモを取っている。……まぁ使い道が出来ても使わないとは思うけど。狙った相手と戦うのはボックス様の神殿から挑める試練で出来るし。
「そもそも存在自体が厄ネタなんですよね。一体どうやって調達したのか」
『仕組み自体ははるか昔に確立した物であるからな。かの邪神が知っていたか……或いは、その存在が発覚した時に、上手く情報を抜き取っておったのかも知れん』
「あぁ、そっちも有り得ると言えばあり得るんですね。第一陣とは思いにくいですが、第二陣には確実に居たんでしょうし」
元となる「負の感情」は、それこそいくらでも集められるだろうしな。なら、後は実体を与えるだけだ。確かレイドボスを倒した後はそこまで情報規制もしてなかったし、持っていこうと思えばそのチャンスはいくらでもあっただろう。
しかし、地図を見ると結構な範囲を捜索してるのにそれっぽい場所が見つからないな? まぁそう簡単に見つかるような場所には無いだろうし、罠を解除して回るのが半分目的なんだからいいんだけどさ。
ま、私達だけで必ず見つけなきゃいけないって訳でもないしな。誰かが見つけて、対処が必要なら私か「第一候補」が出張ればいいのだ。そして特級戦力が必要なのは、今の所こっちの、性質が悪い上に殺意が高い罠の方だ。
「サーニャの軍服も、竜合金製の鎧そのままの強度があった筈ですからね。それを貫通したんですから、通常の装備で耐えられる訳無いんですよ」
『……それをほぼ生身で耐える「第三候補」はどうなっておるのだ、という話になりかねんが、まぁ、そうであるな……』
「対処できるからいいじゃないですか。ちなみにどうして及びどうやってというのは、大体始祖とボックス様の加護及び祝福のお陰です」
だいたいあの3柱の神々から贈られた
もちろん耐える方はそうだが、そのあと槍や矢を回収して安全に持ち歩けているのは【格納】及びそこに贈られた
『……それもある意味、才能なのかもしれぬな……』
「えっ、何の話ですか」
『「第三候補」は関わった相手から好意を得るのがとても得意なのだな、と思ったまでだ』
「…………特段意識した覚えはないのですが?」
『であるから、才能なのかもしれぬ、と言ったのだ』
……いや、気のせいだろう。もしくは偶然。あるいは関わった神様達が器のでっかい善い方々だったお陰だって。
そんな特殊能力があるなら、休み時間を会話でつぶす程度の友人ぐらいは出来てると思うぞ?
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