第472話 18枚目:行動指針
『パストダウン、ご苦労であった。ではこれらと他の召喚者の動きから、ひとまずの方針を決めるとしようか』
と、「第一候補」が口火を切る。そうだな。たぶん残りログイン時間は大体全員同じぐらいだろうし、今から中心壁の内部に入って探索する余裕はないだろう。だから、実際行動するなら明日の午前中からだ。
スケジュール自体はカバーさん達元『本の虫』組が組んでくれるだろうし、周りの状況にもよるだろう。けど。
「時間があまりありませんが、それでも確実な討伐は目指すべきでしょうね」
「そうねぇ~。ここでうっかりトドメを刺し損なったら~、後が怖いわ~」
「それには同感! 復活の目が万が一にも無いようにしっかりオーバーキルした方が良いと思う!」
『まぁそうであるな。実際どれ程火力が必要か、あるいは解かねばならぬ仕掛けがあるかはこれから調べなければならぬが』
とりあえず、今回の標的を逃がすという選択肢は無い。つまりこの月末の土日、丸2日で正体不明の元凶を削り切らなきゃいけないって訳だ。まぁまだ何処に居るのかも分からないし、「多様な復帰手段」っていうのの潰し方も分かっていないんだけど。
まぁこれは全員思っていたようで、問題なく全会一致となった。さて、じゃあそれを最終目標とするとして、その為にはどう動くかだな。
もちろん、そもそもレイド戦のステージが判明したばっかりだ。情報が全く足りていないから、見つかった情報によってはほいほいと優先度が入れ替わる可能性が高い。
「まずは~、相手が何処に居るかが分からないと~、叩きようがないわよね~」
「後「多様な復帰手段」な。これをどうにかしないとどうにもなんないだろ。「復活」じゃなくて「復帰」ってとこにちょっと引っ掛かるもんがあるけど」
「それは思いました。まぁ、とりあえず目の前にある現象としては変わらないでしょうから、仕掛けを探すのは優先した方がいいでしょうね」
『で、あるな。それに、相手が使役する対象がクレナイイトサンゴに似た性質と言う事で、広域火力的にも安定したダメージ源という意味でも「第三候補」に出てもらうしかないであろうし』
「まぁ物理にしろ魔法にしろ、未だ行方不明で連絡もつかない「第二候補」を除けば私達が一番でしょうからね。各種耐性に至っては上回っている可能性が高いですし」
まぁ、私とエルルとサーニャがメインを張るのは予定調和だな。文字通り全力でぶん殴ってもまだ足りないかも知れないんだ。レイドボスを舐めてはいけない。物理も魔法も、存分に叩き込んでやる。
とりあえず元凶本体の居場所と、「多様な復帰手段」の捜索・破壊。これも動かない最高優先目標だ。となると、後は実際に探索してみるか、情報が出てくるのを待つしか無いか。時間が余るようなら消耗品でも作っておこう。
と、思ったところで、「第四候補」が首を傾げた。
「あー、まだ見つかってないんだっけ? つか目撃情報もゼロのまま? どこで何してんだよあの爺さん」
「見た目と口調は、だけどね~。うっかり、この亜空間にお呼ばれしてない、とかじゃないといいんだけど~」
『否定したいが、否定できるだけの材料が無いであるな。通常空間における現在位置が不明であるという事で、何らかの影響があったかどうかすら分からぬ』
「外縁部にも内側にも居ませんでしたからね、結局。あの戦闘狂が、起きているなら戦闘せずに大人しくしている訳も無いでしょうし」
そうなんだよな。結局、連絡もつかなければ目撃情報もないままだ。「第五候補」の挙げた可能性も笑い飛ばせない。現代竜族の所に居るって事は、最低でも次の大陸……つまり、現状では進入不可能な筈の場所に居るって事だから。
ログインしているのは分かっているし、石化や重度の麻痺といった重篤な状態異常に掛かっている訳でもないのも分かっている。……なら、暴れてると思うんだよなぁ。
でも、暴れるとしたら絶対人目に付くだろう。それが、目撃情報の1つもない。これだけ亜空間内部を(結果論だが)全力で探したのに、だ。
「やっぱりちゃんと正規ルートを通らなきゃダメだな!」
「本当にね~」
「あなた達が言います?」
『ま、我らは全員誰の事も言えぬだろうよ』
……まぁ私も、あの谷から出れたのはエルルの救出っていうイレギュラーなルートを通った結果であって、独力だと多分未だに谷底でうろうろしてただろうし、言えないか。
『まぁともあれ。方針としては、まず本元である元凶の居場所の捜索。次点で「異なる理」による仕掛けの捜索或いは看破、並びに無力化であるな。「第三候補」は対元凶の主力である故、戦力としては温存だ。それまでの探索は「第四候補」、「第五候補」、任せたであるぞ』
「出番は早めにお願いしますね。いくら飽和火力持ちと言えど、時間はいくらあっても困りませんから」
「おう、まっかせろー!」
「任されたわ~」
後は他の
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