第429話 18枚目:広域探索
予想通りと言うか何というか、掲示板だけではなく実際の声でも大分ごねられてしまったが……「でもこのままついて来ても、たぶん戦闘の余波で吹っ飛んで死に戻りして、結局バラバラになるんじゃね?」という「第四候補」の言葉で納得したのか、素直に見送ってくれた。
どうやら
……さらっと言ったけど簡単に作れるようなもんじゃ無いと思うんだけどな? そしてそれを曳くのに良さそうな大型動物の捕獲とかも簡単にできるようなもんじゃ無いと思うんだけどな?
「あっはっはっは! けどこれで俺達全員がバラバラに動けるな!」
「そうねぇ~。一度に探せる範囲が広がるのは~、良い事だわ~」
なお大型動物は馬と牛を足して2で割ったような生き物で、数は馬車の荷台1台分だった。まぁそれでいいんだけど。
サーニャが悔しそうにしているから、エルルとじゃんけんでもして負けたらしい。私としては安心だ。
ちなみに作成のメインとなったのは双子との事。あれ? こんな大物作れたっけ?
「罠で柵とか作るから似たようなものだメェ」
「畑の周りに柵と言う名の壁を作ったりもしてたメェ」
「そう言えばそうでした。あの壁と言う名の木製砦がありましたね」
「待て砦ってなんだ」
「「メメメ~」」
改めて言われると、……せやな。としか言えない事に気が付いたがまぁそれはさておき。
エルルに運ばれる私のグループ、サーニャが運ぶ「第一候補」のグループ、荷台をゴーレムで動かす「第四候補」のグループ、捕獲されていた動物を魅了からテイムして曳かせる「第五候補」のグループに分かれて行動できるって事だ。純粋に手数が増えるのは歓迎すべきだよね。
で、予定としては「第二候補」の下に就くつもりで来ていたフラップさんと、「第二候補」の元作成使徒な現使徒生まれの人達は、それぞれのグループに分かれて参加する事になった。
「あぁそれで、ルージュの装備がいつもより多いなと思ったら……」
「(・∀・)」
「( ̄Д ̄)/」
「……物質系の種族って皆そういう喋り方なんでしょうか」
「「(・▽・)人( ̄▽ ̄)」」
背負ってる鞘の数が多いような気がしたんだよ。ルージュは自分が装備する時、武器の色を桜色に染め上げる。でもそれは刀身の話であって鞘はそうでも無いから、ぱっと見気付かなかったんだよね。
うん。背負うにしてはやや小ぶりな、打刀が増えてたんだ。で、話を振ってみたらこの反応。「第二候補」の元作成使徒で、種族的にはルージュの同族である。仲が良いみたいで何より。
機動力の問題で、私達と「第一候補」はより遠くを探索する担当だ。馬車の荷台風になっているから、周りが良く見える。もちろんよく見える分だけ探索も捗るのだ。
「このまま中央から離れて、この亜空間の外縁を目指すのは確定。問題はその縁がどこかって話と、ティフォン様の領域を探したいってとこなんですよね。多分火山だと思うんですが……」
「火山かぁ。話には聞いた事があるけど、実物を見た事は無いねぇ」
「一言で言うと、煙と火を吐いている山ですね」
「……火事でもないのに煙が出てるって事でいいのかなぁ?」
「実質常に火事が起こってるような物ですから……」
だって火山ってそういう事だよね? ティフォン様の領域なんだから、まさかそこで休火山とかが出てくる訳もないだろうし。思いっきり溶岩を抱えて刺激があればいつでも噴火オッケーな活火山だと思う。
地形のパッチワークを眺めつつ、その中でそれっぽい地形を探す。絶対値がすごい事になっているこの亜空間で、比率では7%と数字が出ているんだ。一塊の領域になっているなら、それなりに規模がある筈なんだけど。
後ろを見てあの巨大な樹が見えるから、そこから離れる方向って事で外縁部に向かってるのは間違いないんだ。問題は、エルルが割と本気で高さを取って飛んでるにもかかわらず、いつまでもそれっぽい地形が見当たらないって事と。
「やっぱり広すぎでしょうこの亜空間。ぽつぽつとボックス様の避難所もとい領域は見えてますから、休むこと自体は問題なくできるでしょうけど」
「そうですね。ちょっとこれは、試練に挑んでいる場合ではないかも知れません。探索が推奨されているだけはあります」
まぁそうなった原因は誰だって言われたら私達
だって“破滅の神々”の管理割合を下げる為だったんだから仕方ないじゃないか!
『……これ、下手すれば大陸渡るぐらいは飛ばないと端なんて見えないんじゃないか?』
「まぁ今でも地上見る限り相当飛んでるっすもんねー」
「その地上も大体の色の違いでしか変化が分からないのだけど」
「そしてそんな私達でも分かるあの安全地帯は本当に助かりますね」
「ありがたいですよねー」
ってことは、あと1時間かそこらは移動を覚悟しなきゃいけないか。いやほんと、いくら一気に
まぁ最高なボックス様の領域には簡易版の大神殿があるから、進もうと思えば進めるとは思うけど。何せ帰りの事を考えなくていいからね。ほぼ一定距離ごとに点在するワープポイントとか本当最高なんだから。
「今は一気に移動していますが、出来れば途中でワープポイントを増やしておきたいところですよね。その後の探索の事を考えると」
「確かに。ちぃ姫さんがポイントを記録すれば、絆を結んでいる皆さんも移動できますからね。利便性は格段に上がるでしょう」
…………そういえば今更な話だが、中央に近い位置である“叡智の神々”の領域から出る前にワープポイントを記録し損ねたな。
まぁいいか。どうせ記録してたとしても、出入りするのにいちいち絡まれると面倒とかで使う事は無いだろうし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます