第413話 17枚目:終わりの目安
で、耐久戦が始まって……2時間ぐらいかな? 途中からメアリーさんが呼び集めた異形の骸の処理見学会になってたよ。見るだけでも【解体】に経験値が入るんだね。流石に見るだけではネクロマンシー系のスキルは入らないみたいだけど。
そろそろログイン時間も半分を切るんだが、流石に日付をまたいで再ログインすることになるのは困るんだよな。その間の時間【王権領域】が展開できないから撤退するって意味でも、明日ようやくの終業式で遅刻するとマズいって意味でも。
ルージュは元々疲れ知らずだし、私も長時間戦闘には慣れている。カバーさんも以下同文で、メアリーさんは動いていない上にとっても楽しそうだから問題ないだろう。
『ルシル。疲れたら休んでいいんですよ』
「……えー」
『倒れてしまう方が心配です』
「……」
なので問題は、まだまだ敵はいるのに自主的に下がって来たルシルと……私の背中の上で眠ってしまったカトリナちゃんだ。確かに子供はとっくに寝ている時間だけど、どうしようかな。
まぁ下がると言ったって、どこに? って問題でもあるけど。何せ「転移門」は壊しちゃったから。仕方なかったとはいえ、ここから普通に移動するとなるとそこそこ大変だ。この異形の群れを引きつれていく訳にも行かないし。
それにまぁ、反対側こと一般
『しかしここを離れると今度は鬼族の人達の方に行く訳で…………いやまぁ彼らなら少々の敵は問題なく撃退できるでしょうけども』
むしろ嬉々として殴りに行く一般鬼族の人達が浮かんだがそれはさておき。「第一候補」もカバーさんも今一生懸命策を考えてくれてる中、独自に動く訳にも行かないしな。
イベントも残り日数のカウントダウンが進む中、“破滅の神々”への注目度は高い筈だ。今回みたいに転がされたクランはともかく、そうじゃない
と、ルージュの大活躍を見ながら考えを回していると――ドゴォン!! と、地響きを伴う重い音が響いた。
「きゃあっ!?」
『カバーさん!』
「どうやら交戦中だった
『【解体】無しでも残るのは初耳ですね。しかし成程、通りでルージュが倒しても全部綺麗に残る筈です』
だって覚えさせた記憶ないし、ルールに見せて貰ったスキル一覧には無かったんだよ。その後も覚える機会は無かった筈だ。だから、いつ覚えたんだろうと内心首を傾げていた訳だが、どうやら覚えていなくても残るのは仕様だったらしい。
それでいくとメアリーさんが居て良かったな。正しくは彼女に異形の骸の処理をお任せしていて。だってそれでいくと、間違いなくこっちにも出てる筈だからな。大型という名の巨人大の異形。
人間を基準に、1体1体目や手足の数が異なる異形。時々動物染みた姿も混ざっているそれらは、ただでさえ無限召喚で数が多い。その中に大型個体が混ざると、一気に脅威度が上がるだろう。
『私やエルルであれば大きい程度はむしろ的でしかありませんが、一般
「なっ、にゃにがあったのっ!?」
今の音で起きちゃった大混乱カトリナちゃんが可愛いがまぁともかくだ。今の問題は、こちらから応援に行くかどうかだな。ただし応援に行くという事は此処を放棄するって事でもある。
で、此処を放棄するって言うのはこの後ろ――東側に被害が出る可能性があるって事だ。それでなくても、異形の群れが広がれば広がるほど後が大変になるのが分かってるんだし。
でもストーサー西側の被害を無視できるかと言うとそうも言えない。さて難しい所だ。そろそろ応援が欲しい。
「朗報です、ちぃ姫さん。どうやらこの事態を知りながらも情報の裏取りを優先させ、結果として様子をうかがう形になっていたトップクラン数か所が連携、儀式の対象となった3ヵ所の町に応援として参戦するそうです」
『あぁ、それは確かに朗報ですね。手が足りないのは間違いありませんでしたし』
「そして大神官さんから、“破滅の神々”の神域の空気を抑え込む力の付与を行った祭具が出来たので、応援が辿り着き次第エルルさんとサーニャさんに運んでもらうとの事です」
『ようやくゴールが見えた感じですね』
どうやら応援が来るらしい。良かった。流石に数が数だったからなぁ。
まぁ最後まで油断はしないけど。……だって、捕まって連れていかれたら生贄カウントになる可能性が高い訳じゃない?
うっかり生贄が増えちゃって、強い奴が出てくるようになったら大変な事になりかねないからね。
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