第381話 16枚目:整備完了

 神々も私に対しては自重していない気配がするが、ともかく。そのまま本を読みに行ったカバーさんと別れ、一度外に出て【魔力練化】をOFFにしてみたら、即座に精霊さん達は寄って来てくれた。普通に見えるしやっぱり【魔力練化】で補正が乗るのがダメだったみたいだ。


「お嬢から精霊の気配はするのに、精霊が見えないって言うからどうなってんだとは思ってたが……」

「あ、エルルとしてはこれが普通なんですね?」

「精霊は仲間が多い所とか魔力が濃い場所に寄って来るからな」


 カラフルな無数の光の粒がわらわら集まって、私の頭とか肩とかにくっ付いてくるのを見ながらエルルが呟いていたが、どうやらエルルとしてはこっちが正しい姿のようだ。魔力が濃い場所……あぁなるほど。竜族って持ってる魔力が多いから。

 相変わらず空間の精霊さんは姿を見せてくれないが、無事声は聞こえたので氷の精霊さんと同じ約束を交わして精霊さんと契約する事に。

 流石に特殊な中間属性の精霊さんは特殊な場所に居るとかで、6属性の精霊さん+無属性と砂や雷といった自然に居る精霊さんとだったけど、【○○精霊魔法】が一気に増えた。やったね。


「で、【魔力練化】をONにすると」

「……見事に散っていったな」

「まぁ、契約してもらえる目が出たのは良い事ですし……」


 ちょっと寂しいが仕方ない。【魔力練化】への神の祝福ギフトそのものは凄まじく有用なんだし。精霊さんと遊びたいときはOFFにすればいいだけの話だ。

 その辺りでみのみのさん達が私の島へと到着したらしく、そのまま港とお客様用の建物を海岸付近に、皆が暮らす用の建物を平原と岩地の境目辺りに建てて貰う事になった。


「実験施設はどうしましょうかね。一応防衛対象でもありますが、うちには施設と相性の良すぎる人が何人かいますし」

「…………否定できないな。森と泉の間ぐらいならいいんじゃないか?」

「そうですねぇ。皆さん異議はありますかー?」

「「「異議なーし」」」


 という事で、実験施設は果樹多めの追加した森の北側に設置する事になった。さてこれで最低限必要な施設の配置は決まったけど、後はどうしようかな。細い川を越えて森を切り開くか、それとも平原の残ったスペースに畑を作るのが先か。


「主、訓練所」

「それは「第二候補」の所に本気の奴が建つ筈ですしねぇ」

「お船は作らなくていいですかー?」

「一応共有財産なので、後で「第一候補」から送られる予定ですよ」

「周りが海だから釣りがしたいんだけど……」

「あぁ、それはいいですね。海岸側は船を停めるのに整備しますし、東側の崖に手を入れますか。ルウの移動経路にもいいでしょうし」


 という感じの会話で作る物を決めていった。

 ルドルの希望で東側に釣りが出来る小さな桟橋と、ルディルとルフィルの希望で平原の南側に野菜と薬草の畑が半分ずつ。ルフェルの希望で果樹多めの森から川への道を整備して、ソフィーナさんの希望で桟橋に生け簀を追加。

 後は全員の希望で東側の森をちょっと切り開いて牛とか豚が飼えるようにして、その頃には基礎が出来ていたらしく皆で住む建物の内装の相談だ。


「大きなキッチン! これは譲れないわ!」

「個室の数は多めに作って頂けませんか? これから人数が増えないとも限りませんし」

「ちょっと通路の形を工夫してほしいんだけど大丈夫かな?」

「窓がある部屋がいいですー」

「研究施設に近い場所がいいねぇ。出入りもしやすいともっといいんだけどぉ」


 ……一部若干無理のある注文があったかもしれないが、それでも希望通りに作ってくれたみのみのさん達には感謝しかない。スキルも魔法も神の加護も種族特性もあると言ったって、リアル数日で結構立派なお屋敷風の3階建てを含めた全ての施設が建つとは。


「ブモー! 改築や増築の依頼があったらいつでもご連絡くださいッス!」

「今回は本当にありがとうございました。頼りにさせて頂きます」


 さて、どうにか次のイベントまでには拠点整備が間に合った。

 うちのクランに新人が入るとはあんまり思ってないけど、対『バッドエンド』に加えてボックス様を始め発言力がまだ低い神々の権威強化、住民の狂信者との競争と、忙しいのが分かり切ってる2ヶ月だからな。

 コトニワのうちの子とも合流できたし、ボックス様からは神殿を貰ったし、頑張るぞー。

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