第331話 15枚目:戦闘(?)経過

[神獣/化身:ヒラニヤークシャ(魚)

安定度:[90%] Locked!

残り顕現時間:[194時間11分] Locked!

所持権能:地表海没

     水属性無効

     氷属性無効

     打撃属性無効

     属性攻撃半減

     物理攻撃半減

状態:強制休眠(全ての行動とダメージが無効)

強制休眠残り時間:23時間56分]


 さて無事に必要なダメージを叩き込むと、口を閉じてドリル(牙か爪?)をぎゅむっと引っ込めるように縮めて、すうっと姿が薄れて半透明になったヒラニヤークシャ(魚)。じっと動きの無いその姿を【鑑定☆】して出てきた表示がこれだ。

 残り顕現時間(たぶん戦えるタイムリミット)にまでロックがかかるのは予想外だったが、まぁ真面目に討伐をしたい、少なくとも今後軽々しく顕現出来なくなる程度のダメージを与えたいこちらとしてはありがたい事だな。

 これで、少なくとも内部時間で丸1日はこちらは平和な訳だ。その後も強制睡眠状態に出来るのか、出来るとして必要なダメージ量は同じなのか、権能と言う名の耐性に変化はあるのか、確認しなきゃいけない事は多いけど。


「今後どのような変化が出るかは実際時間が経ってみなくては分かりませんが……とりあえず、当面の行動パターンは割り出せたでしょうし、仕事は出来たでしょう」


 さてそうなると扉のダンジョンに挑戦、となるところだがここでちょっと考える。「第五候補」と相談してログインのタイミングをずらしている現在、ダンジョンに挑むなら私が単独でという事になる。

 別にそれでも構わないのだが、ダンジョンの攻略はどちらかというとマンパワーが必要な案件だ。無駄になることは無いが、他にもっと役に立つことは無いだろうか?

 ……戦闘に飽きたとかではない。飽きた訳じゃないからな。大物との戦闘で通常モンスターだと物足りなくなってるとかでも無いから。何かこう、嫌な予感と同じカテゴリで何か引っかかってるんだよ。


「……一応確認しておきましょうか」


 とりあえずこちらへ来ている『本の虫』の人達に話を聞いてみよう。現状不足してる物資とかがあったら困るからね。




 翌日。


「ログイン早々すみませんが「第三候補」さん、早急に補充をお願いします!」

「あ、やっぱり足りませんでしたか」


 昨日のリアル午後6時の復活は、戦闘に内部時間で6時間ほどかかったがどうにか上手くいったらしい。が、その後のリアル午前3時半の復活は相当苦戦したようで、リアル午前8時にログインしてすぐ【鑑定☆】してみた復活までの時間は、20時間と表示されていた。

 で、何でそんな差が出たかって言うと、それが今の『本の虫』のメンバーさんの言葉になる訳だよね。うん。つまり、私が【符術】で、土属性で刺突系の魔法のお札を作っておいたんだ。

 実は【土属性魔法】って結構使い方が難しいらしくって、土属性魔法の使い手は割と少ないらしい。派生する中間属性も同じく扱いが難しいっていうのもあって……つまり、ヒラニヤークシャ(魚)の大暴れを誘発させる手札が少ないって事だ。


「まぁ火力も足りるかどうか不安でしたからねぇ……」


 【符術】は暇さえあればコツコツ上げ続けていたから、今だと私自身が撃つときの3割ぐらいの威力は出るんじゃないだろうか。風毬さん曰く、熟練しても術者の半分ぐらいまでらしいけど。

 とはいえ、ステータスの暴力である私の威力の3割だ。使い捨てアイテムの出せる火力としては桁外れに高いだろう。その威力と使い勝手の良さを見たトッププレイヤー達が、目の色変えて販売してくれって『本の虫』の人達に頼み込んでたから。

 え、私に来ないのは何でだって? 一瞬来ようとしたけど「原則『本の虫』にしか渡しません」って早々に宣言したから諦めたみたい。原則と言いつつ、例外は魔物種族プレイヤーぐらいだけど。


「となると当然、そのお札の消費は進むし、無くなれば苦戦する訳で」


 昨日の夜のログインでもいっぱい作ったんだけど、まぁ、練習と銘打ってダンジョンの攻略に使う人もいるよね……ってとこだろう。管理するにも限界があるだろうし、あまり締め付けすぎると窃盗とかが発生するかもしれないし。

 ということで、『本の虫』の人達から材料を貰ってお札の作成三昧だ。ダンジョンを攻略してる時間が無いな。まぁ制御に関係するスキルが育つから、経験値としては十分美味しいんだけど。

 あと……後方での生産作業ならエルル達もそんな怒らないかな……っていうのも、ちょっと、あったりする。

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