第216話 13枚目:イベント開始
なお、落ち着いてから改めて確認してみると、個人で建てた神殿に啓示が書かれた文字板が届いていた。ティフォン様から。曰く『あの天空神は思い切り殴り飛ばしておいた。それでも懲りずにまたバカな事を云っているが、まぁ気にせず好きにやれ!』との事。うーんイケオジ。
え、ボックス様? あぁ、それはナヴィティリアさんが来てて直接聞いたよ。いや見たであって文字列だからこっちも啓示でいいのか。『結果として争い合うように託宣が下っただろうけど、別に結果はどうでもいいから無理しないでね』だったよ。真っ先にこっちの心配してくれるとか最高か? 最高だったわ。
とりあえずこんな感じのメッセージが来てたよ、と『本の虫』の人達のまとめページに文章をコピーして投稿しておいた。こっちのみずはあーまいぞ、っと。
「あ、お嬢おはよう。なんか召喚者がざわついてるけど、なんかあった?」
「おはようございます。あるかないかでいったらありましたね、結構大きいのが」
そこからイベントページに行って、実績値が数字になってランキング付けされるらしいという事を確認したり、実績になる行動の例え一覧に目を通していたりしていると、エルルが部屋に戻って来た。なので一度イベントページに戻り、それをエルルに見せる。
最初こそ「あぁ新しい啓示が来たのか」という態度だったエルルだが、読み進めるにつれて眉間にしわが寄って、最後まで行ったかと思うともう一度視線が最初に戻り、結局3回読んだところで、頭が痛い、というように額を押さえた。
「……あえて神の名前は口に出さないが……」
「ティフォン様からは『思い切り殴り飛ばしておいた』との啓示が届いていましたよ」
「え、その上でこんな啓示下してきたのか?」
「らしいですね」
マジかよ。と若干顔を引きつらせているエルル。マジなんだよなぁ。まぁ私自身はその話題の天空神とやらには会ったことが無いから何とも言えないんだけど。
まぁ現実の推定元ネタからして相当な女の敵っぽいのは確かだし、この分だと他にも色々と敵に回してるっぽいから、加減する必要は無いな。
「ティフォン様からもボックス様からも、気にするな、無理はしなくていい、と云われていますが――まぁ、でも、負ける訳にはいきませんよねぇ」
「うーんお嬢がやる気だ」
やれといわれずともやるべきことを自主的にやる。そんな部下を育てて大事にするのが良い上司ってもんですよ? まぁ私はまだ学生なんだけどね!
とりあえずは地道に貢献度稼ぎって事で、ルウ達にお任せでデビルフィッシュ(異世界タコ)を狩っていく。私自身は【釣り】でクラーケン(異世界イカ)を釣り上げるお仕事だ。まずは取り巻きから削っていこう。
先月と違い滅多に超重量物はかからなくなり、普通の魚及び魚型モンスターの数もぐっと減った。何か動きに変化があったのかな? まぁ、フリアド式全方位録画カメラをあれだけ放り込めば、多少は何か変化がある事ぐらい気付くか。
それに魔物種族の神が(「第一候補」が封印を解除した分は)復活したから、その辺からも何かあった可能性がある。それ以前に、単純にイベントが始まったからって言うのもありそうだけど。
「釣って帰ったら海鮮料理のフルコースが待ってるとか、そんなの全力で釣りまくるに決まってるじゃないですか」
「デビルフィッシュもクラーケンもちゃんと食べたのは初めてだけど、確かに美味かったな」
「【人化】してもあんまり食べられない事が、残念って思うのは初めてですねー」
鬼族の人達の所に大体醤油とか味噌とかはあったんだけど、そこからソースの類を再現した誰かがいたようだ。ご当地ソース各種が揃ってたよ。確か『銀のカトラリー』だったかな? 『本の虫』と提携している料理研究クラン。
だから、タコ焼きやイカ焼きを始めとした再現料理が揃っているのだ。また新鮮なタコとイカだからか美味しいのなんの。バフが付くみたいだけどそれは別としてもたくさん食べたい。
ゲームの中ならいくら食べても太らないし、私は【大食】があるからいくらでも食べられるんだよね。しかも体自体は成長期と来た。そりゃーもー食べまくるしかない。エルルもどんどん食べさせてこようとするし。
「普通サイズでこれですから、味の保証はあると見ました。大きいのはそれに加えて食べ応えに期待しましょう」
「あー。あのソースって調味料を塗って足を丸焼きにしたのにかぶりつくとか? 美味そう」
「僕も今からでももうちょっと食べれるようにするべきでしょうかー?」
なおそんな調子なので、すっかりイベントの通り名が「食欲で攻略する怪獣大決戦」で定着している。私達以外には『本の虫』の人達ぐらいしかその言い出しっぺを知らないが、フライリーさんは恥ずかしさで
味だけではなく経験値的にも美味しいから、早めにイベント参加した方が良いと思うんだけど……まぁ、穴があったら入りたいという気持ちは分からなくもないので、自力で立ち直るまでそっとしておこう。
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