第210話 12枚目:ステータス「可愛い」
もしかしたら、ステータスにも「可愛さ」とか「愛らしさ」みたいなのがあって、私はそちらもぶっちぎっていたのかもしれない。
とか思う程度には周りの反応がすごかった。一言でいうと、気絶者多数。『本の虫』の人達が死屍累々(?)になっているのを見るのは新鮮だなぁ。あの5月イベントの時のハードワークでも普通に働いてたのに。
「ステータスに「魅力」があるのはほぼ確定していますよ」
「そうなんですか」
「えぇ。受ける印象へのプラス補正や一部スキルの成功率に関わるものですね。今の様子を見るに、強制ログアウトセーフティーの上限が下がる、という効果もあると疑った方が良さそうです」
流石にカバーさんは、驚きはしても気絶はしなかったようだ。スピンさんは屍の山の下の方だった。やはりダメだったよ。ソフィーさん達が居たら、たぶん彼女達も屍の山の仲間入りをしていただろう。
まぁアバターの造作だけではこうはならないよね。だって
「ステータス差っつかレベル差っていうのもあるだろうけどな。その辺の抵抗力は」
というのは、セーフティーとか強制ログアウトとかいう単語に「???」って顔をしていたエルルだ。うーん、そうなのか? 確か今の最前線、というか人間種族
強制ログアウトやセーフティーの事を、感情が高ぶり過ぎると強制的に魂が引き戻される事だと説明してから詳しい事を聞く。
「だってお嬢、まだレベルって1000で止まったままだろ?」
「止まったままですね」
「そういうのはレベルが近いほど通りやすいからな。逆に、低くても絶対値が離れてれば通らない事があったりするんだ」
との事。……あー、弱すぎると強すぎる相手を感知できないとか、達筆が過ぎると教養が無ければ読めないとか、そんな感じかな。
まぁレベルが低い相手なら魅力が通らなくてもどうにでも出来るステータス差があるだろうし、魅力じゃなくて強制的にどうこう、っていうのは通りそうだから、やっぱりステータスもレベルも、そういう意味では高いに越したことは無いのだろう。
……あと、エルルが美人さんに近寄って来られても無反応な理由もその辺じゃないかな。だって、種族レベルがこの間1万3千越えたって言ってたから。鬼族の人達の所で刀を扱って、新しいスキルが入ったあれで。
「では、当面は我々と行動を共にしていただくという方針で宜しいでしょうか?」
「むしろこちらからお願いしたいところですね。よろしくお願いします」
え、アラーネアさん?
帰って来て私(【人化】済み)の姿を見るなり、蜘蛛の俊敏性を全力に何処かに消えたよ。過去最高速度で装備を作ってくれてるんじゃないかな。たぶん。
どうやらイベントが終わった後も、流石に頻度は落ちるものの資源である超重量物は釣り上げる事が出来るらしかった。なので私とエルルも外洋に出る船に乗せてもらい、海流の関係等であの嵐から重い物が流されてくるポイントで【釣り】三昧継続だ。
もちろん「海域調査隊(エリート)の腕章」は装備している。アラーネアさんはその辺分かってくれて、リボン付き半袖ワンピース、レースが多用されてスカート部分が膨らんだドレス、そして今着ているセーラー服風の半袖長ズボンと、3セットも服を作ってくれたのだ。
ワンピースとセーラー服風のセットにはそれぞれ帽子がついているし、靴や靴下、手袋なんかも『本の虫』の人達の協力で揃えてある。祝・初期装備脱出だ。
『まだまだ、まだまだまだまだ「第三候補」さんに着て頂きたい服がそれはもうたくさんあるのですがとりあえず今回はこの辺りにしておきます』
……と、アラーネアさんは言っていたので、多分これから服は増えていく。まぁ今作って貰ったのは文字通り突貫作成だったようで、基本全部白いんだよね。
え、武器は結局どうしたんだって?
「鱗を剥がすとエルルに怒られますからねぇ」
「そんなもん許す訳が無いだろ」
との事で、武器はまだない。だって私も大概ステータスの暴力だから、普通の鉄の武器だと秒で砕いちゃうんだよね。……そう。砕く。なんか、手に持って素振りしたら、こう、ガッシャーンってバラバラになった。
たぶんこれがエルルの言っていた「武器が弾ける」って事なんじゃないかなって。たぶん無意識に魔力を流してるとかなんだろうけど、その辺のコントロールが出来ないから武器は諦めるしか無かったんだよね。
……まぁ、中身の私が運動音痴だから、元々武器を使うつもりはそんなになかったけどさ。この身体(アバター)の性能ならいけるかなって、ちょっと思ったりしたんだよ。
「【成体】になればある程度自然に抜け落ちるのが出てくるから、それまではダメだ」
「はーい」
まぁその【成体】になるのがいつになるんだって話なだけで。……次の大陸に行けるようになるころには、間に合うといいな……。
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