第165話 10枚目:イベントリザルト
で。
「こっっっの……降って湧いた系お嬢は…………っっ!!」
フライリーさんは妖精族の女王様に報告しに行く(と書いてお土産話をしに行くと読む)との事で別行動。ルチルはその補佐についてった。なので、いつもの谷底で私もエルルへ何があったかの報告会だ。
話を一通り聞いたところで、話が進むにつれて顔を引きつらせていっていたエルルからいつもの一言を貰い、顔をこねくり回されてしまった。解せぬ! 今回私は悪くないじゃないかー!?
「無茶するなっつってんだよ何だ大技の連発って!?」
「キュキュプキュ(だって他に手段と言うか人員居なかったしー)」
「事情はまた別としてそういう無茶はせめて【幼体】が外れてからにしろ! 成長に悪い!!」
「プ、キキュプ(あ、やっぱり影響あるんだ)」
どうやらフリアドでも、体が出来上がってないうちから無茶をするとその後に影響するというのは知られているらしい。まぁレベルキャップがついてるから【幼体】が外れるの待ちになるだろうけど。
まぁそれだって、今回のイベントでごっそりと魔法系スキルに経験値が入ったからね。大分【幼体】のレベルも下がった。ようやく足踏みから脱せる手掛かりが見えて来た感じだ。
ようやく落ち着いたのか、あるいは気が済んだのか、エルルは私から手を離すと、でっかいため息を吐いた。頭が痛い、と顔に書いてある。
「……で? もう済んだことは仕方ないとして、手に入った素材がどうしたって?」
「キュッキュー(善し悪しがさっぱり分からないからエルル鑑定して)」
「お嬢【鑑定】持って無かったか?」
「キュ、キュキューゥ(耐久値や性能は分かっても、それが高いのか低いのか良いのか悪いのかっていうのが分からないから意味無いんだよね)」
「あぁ、そういう……」
決して細かい数字が苦手とか言う訳ではなく、あくまでフリアド世界における装備の基準を知らないというあれだ。さすがにただのドロップ品鑑定を『本の虫』の人達に頼むのは気が引けた。量が量だし。
現在この谷底で、少なくとも今月の末までは特に何をするでもないレベル上げの時間だ。ならまぁ、山積みとなった素材の鑑定をひたすら行うのも、中々レベルが上がらない【鑑定】のレベリングにいいだろう。
……いや、マジで、どれだけあるか分かったもんじゃないからな……。
流石にこれだけ、文字通り山のような数の装備品や素材を相手にすると【鑑定】のレベルもいい感じで上がっていく。エルルから仕訳の基準を聞いて、それに合わせてざっくり違う山に積み直すだけの作業だけど。
エルルは私がざっくり仕訳した素材や装備品を確認して、それを袋に詰めたり別の山に積んだりしている。あれかな。袋に入れた分は売るか加工する分で、山に積んでるのは私の経験値かな。
まぁそんな分業体制で、仕分けの音としてはぽいぽいという感じだったんだけど、流石に数が数だから。結局すべての戦利品の【鑑定】と仕訳が終わったのは、リアル3日後だった。
「キュゥ(寝てる間はエルル1人に任せてごめんね)」
「いやまぁそれはいいんだけど、だから一体何を相手にしてきたんだよっていうな?」
装備自体も仕訳の影響かそもそもの質が良かったのか、結構良い経験値になったみたいだ。たぶんこれ、魔法スキルにも経験値が入ってる。……まぁそれとは別に、ちょっと意味が分からないスキルも入ってるんだけど。
「キュー(エルルー)」
「何、お嬢」
「キュッキュー(なんかよく分からないスキルが入ったんだけど)」
「またか」
またかって何。私がいつも何かやらかす前提? 多分あのイベントボスの装備由来だと思うんだけど、【陽光の恵み】とか【夜陰の支え】とか、一見よく分からないスキルが入ってるんだよね。
「たぶんステータス補正じゃないか?」
「キュ?(たぶん?)」
「俺の時代よりさらに前の物だろ、この装備。たぶんその頃には装備に補正を着けるやり方も違ってただろうから、それで別枠になってるんだと思うぞ」
「キュー(なるほど)」
ということらしかった。補正が増えたよ、やったね! ステータスの暴力が捗るよ!
問題があるとすれば、このスキルのレベルを上げようと思うと、またあるかも知れないキャンプ型イベントに期待するしかないって事か。だってエルルの生きてた時代よりさらに昔の時代とか、遺跡も残ってるかどうか怪しい。
……そうなった時はまず間違いなくまた「世界単位での大きな傷」がある可能性が高いが、まぁ仕方ない。
「で、他には?」
「キュッ!(今回は特に何もなかったよ!)」
「ほんとに?」
「キュゥッ!(ほんとだってば!)」
うーんエルルからのやらかし信用度がマイナスに突入してる気がする。
……今までの行い? さぁなんのことかな。
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