第151話 10枚目:戦闘経過
「呪護の瞳」は全プレイヤーから『本の虫』が回収し、一括管理する事になった。まぁ「空の魔女」さんもずっといる訳ではないし、空を飛べるプレイヤーも「空の魔女」さんだけではない。
そしてレイドボス専用掲示板とは別に立てられた長毛な黒猫の魔物様子見スレッドでは、小型猫の大人サイズな長毛黒猫のスクリーンショットが上げられまくっていた。
……弱ってるのはまぁ納得なんだけど、大丈夫? めっちゃ怯えてない?
「キュゥ……(これは後で様子見に行った方がいいかな)」
可愛いもの好きとして、可愛いのが怯えている事ぐらいには気づこうか……。今は可愛いが唐突に来てテンション振り切れているだけだと思いたい。一応、戦線に問題は無いみたいだし。
その後は、恐らくみのみのさんによる南と東の砦建設状況を掲示板の感想と言う形で覗き見したり、このままモンスターが増えると飽和するって事で、周辺の中ボス以上のモンスターを掃討する部隊が作られたりという感じだ。
しいていうなら、一緒に戦ってる魔物種族
「キキ、これは真面目に回収部隊を回して貰った方がいいかもですねぇ、ウキ」
『その人たちに【解体】が生えると、更に忙しくなりそうですけどね』
「まぁ素材が採れるかと言われると大分無理があるのも確かですが! ウッキー!」
そうだね。ニビーさんの木の実投擲ならまだしも、ツタ植物なプレイヤーにミイラ化されたやつとかスライムなプレイヤーに溶かされたやつとか、あと私のブレスや魔法で吹っ飛んだやつとか。
数が数だからその辺気にしてられないんだよねぇ。あ、だからエルルは積極的に剣使ってた訳か。威力をセーブするっていうのもあるだろうけど、実利的にも。
まぁ猫サイズの仔竜ではその辺無理がある。ドロップとしての量が減るとはいえ、入らない訳ではないんだし。……最前線で戦ってる人たちの足場が最悪だから、片付けられるんなら片付けた方が良いんだろうけどさ。
『どうしようも無くなったら、生きている群れもろとも最大火力ブレスで一掃します』
「まぁ致し方ないでしょう! キキ!」
地形は既にすっかり開け切ってるし、更にダメージが入っても誤差だ誤差。
そんな感じで、日中は攻めるとか削るというより、状況を整えたり維持したりする感じで過ぎていった。私は他の魔物種族プレイヤー達と同じく、カバーさんからの指示で割とこまめに出入りしている。
とはいえ1日9時間のログイン上限の方は変わらないので、夕方になると一旦ログインはストップだ。ご飯とかもあるし。そしてリアル側のあれこれを片付けて、夜はいつもの時間にログインした。
実質的にこのログインが勝負となるだろう。時間的にもゴールデンタイムだし、大型連休も終盤で、帰省なんかをしてた人達も帰って来ている頃の筈だ。というか、流石にここから翌日持越しとかは考えたくない。
「では、いざ!」
最悪、日付変更線直後に再ログインする覚悟も決めた。大丈夫、明日はまだ休みだ。1日ぐらいなら昼まで寝てても怒られまい。……連休を既にゲーム三昧で潰してるから厳しいって? その時は素直に怒られる。
そんな訳で気合を入れてログインし、なんか見るたびに色々追加されて豪華になっている気がする籠の中で目を覚ます。さて周りの状況は、と籠から身を起こして回りを見て。
同時並行でレイドボス専用掲示板と黒猫魔物の様子見掲示板を開き。
「……キュ?(ん?)」
「うあっ!」
「かはっ!」
何故か周囲は黒い毛玉でみっちりになっていて……今現在も怒涛の勢いで流れている黒猫魔物の様子見掲示板のトップに、黒猫魔物種族に埋もれる私のスクリーンショットが貼り付けてあった。
起き上がって声を出した時の変な声は……ソフィーさん達じゃないか。ちょっと、血文字で「かわいい」って逆に怖いよ。尊死ってやつ? しぬないきろ。
『…………一応、
「「ひっ」」
ははは。思ったより低い声が出ちゃったな。起こしてすまない周りの黒い毛玉もとい黒猫魔物達。君ら目の色は金色だったり青色だったり個体差あるんだね。あ、オッドアイも居る。
つーか私は個人情報保護の許可を「私が認識している相手からの撮影」に限定した設定にしている筈だ。
それが何で掲示板っていう公共の場所に出せているのか、その辺ちょっと詳しい話を聞かせて貰おうか……?
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