第126話 10枚目:折り返しと気づき
さて。連休に入ってからは地下通路の魔法的大掃除しかしてないままに5日が経過した私です。なーんでイベントでまでオフラインゲーム風味な単純作業をしなきゃいけないんだ。
が。それでもステータスの暴力でゴリ押して頑張った結果、イベント前半最終日の5月7日2回目のログインで、『本の虫』の人達に貰った地図の範囲は全部綺麗にしてやった。どうだ見たか!!
「キ、キューゥ(で、問題が解決したかって言うとそんな訳がないんだよね)」
……貰った地図の範囲は、な。
そうだよ。地下2階への階段があったんだよ。それも複数。
地上、というか、何処かの建物の地下室に繋がるらしいわき道も複数見つけたから、流石にそろそろ1人での作業からは解放され、ると、いいな……とは思う。流石にイベント期間中に1人で解決するのは無理だこれ。
「キュキュ……(とりあえずカバーさんにオートマップでのマップを送ろう)」
ぺちぺちとメニューからメールを操作して、地上へのわき道と更なる地下への階段、そして私でも微妙に法則性がありそうだなーと感じる推定モンスターの出現位置が書き込まれた地図をカバーさんへと送る。
本文は……「頂いた地図の分は調査・清掃完了しましたが、流石に単独での完全解決は無理なようです」と。そうしーん。
残りログイン時間を確認すると、5時間ぐらい。微妙だな。遠出するにもこの先を探検するにも。生産スキルを鍛えるには素材が無いし。
「キュ(返事はっや)」
とか思っている間に、カバーさんからの返信が届いた。いや、早いよ。……今更ながら、私がログインしてる間ってほぼ必ずカバーさんがいるんだけどどうなってるんだろう。たまたまログインペースが近いのかな。もしかして向こうが合わせてくれてる?
脇にそれた思考を引き戻しつつ、カバーさんからのお返事メールに目を通す。ふむふむ。新たな入り口発見と地下一階の安全確保ありがとうございます。残っている文献から洗浄剤の再現実験を行っておりますので、「第三候補」様としては引き続いて地下2階の探索を行っていただくか、薬草等素材の調達に回って頂けるとありがたいです。
へー。洗浄剤見つかったんだ。レシピだけで完成してないみたいだけど。あ、必要素材に虫食いがあるんだ? えーと、分かってるレシピと材料が……添付ファイルだと……?
「キュ(うわ)」
そこには、見つかった文献のスクリーンショットと内容の現代語訳。完全に読める素材と、一部が虫食いになった素材の名前、現在までに試した、イベントエリア内で採れる素材の組み合わせがずらりと並んでいた。
『本の虫』の人達も頑張っていたようだ。まぁ【錬金】とか【調薬】とかのレベリングにもなるだろうし、素材を集めて調べるのにも良かったんだろう。私も参加したかった。
さてここでちょっと話は変わる訳だが、判明したバックストーリーの続きというか、存在が判明したイベントストーリー的に、今いる此処は「神々ですら記憶にない程遥か過去の再現」だ。
つまり『本の虫』の人達が一生懸命集めて、解析して、現代語訳している文献というのは、「現代語訳する必要のある」言語で書かれている。(なおこの場合の現代語とは【共通言語】の事)
なんでもスキルの中には【翻訳】とか【言語解析】とかいうものもあるらしく、そういうスキルを持っている人が総がかりで文章を解析し、解読し、そして現代語に直して発表している、という事になる。
で、だ。
メールには文献の原文となるスクリーンショットが貼り付けてあった。何の意図をもってカバーさんが私にそれを送って来たのか、正確なところは本人に聞くしかないし、聞いたところで素直に答えてくれるかどうかは別だが……グッジョブ、と、今回は言うべきだろう。
何せ、「遥か過去」という舞台設定だ。そういう意味でもエルルが居れば良かったのにと思うが、エルルが居る事で「詰み」になる地雷がある可能性が高い以上贅沢は言えない。
……覚えているだろうか。私は、ティフォン様との謁見で【神話言語】という神々の使う言語を。そして、谷底の装備を【吸引領域】で経験値にする事で【古代言語】という昔の言語を、それぞれスキルとして手に入れ、使えるようになっているという事を。
「キキュゥ(この現代語訳めっちゃ間違ってる)」
レベリングを続けている内に【古代言語】はレベル100でカンストしちゃってる訳だが、ほんと何がどう役に立つか分かんないなぁ!?
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