第78話 7枚目:レベリングと旅
さて、無事(?)エルルの協力も得られたことで、たっぷりと
[スキル【未熟体】のレベルが上がりました
スキル【未熟体】がスキル【幼体】へ変化します
スキル【進化糧】Lv1000が進化に使用されます
スキル【成長因子】Lv64が進化に使用されます
進化の条件を満たしました
進化が自動実行されます
スキル【因子痕】のレベルが上がりました]
来たぜ、進化! 念願の(?)【幼体】だ! あ、ちなみに今回は真っ当に脱皮だった。真っ当とは。それはあのぞっとする感覚が無い事だ。
さーてどうなったかなとメニューを開きステータスを確認。
『えー種族が「ノーエレメント・ドラゴン・パピー・ベイビー」』
「ま、順当だな」
『【幼体】のレベルが……』
「んーお嬢だな」
そこには無常の、960という表示。ちょっと待てや。
『なーんでスキル上限付近のレベルが表示されてんだ!!』
「いやそりゃお嬢だからだろ。……つか、いつの間にか血筋を証明するスキルが変わってるし」
『そこまでは知らない。エルルとお揃いなんじゃないの?』
「…………、そうか。古代竜と現代竜で違う可能性があるのか」
ガリゴリバリボリとインベントリに送られた様々な宝石を頬張るように食べながら文句を言う。私だからってどういうことだ。そうか血筋が特殊だからか。だからってこれは無いんじゃないですかねぇ!?
なお血筋に関するスキルこと【真・竜の血脈】は【古代竜の血脈】になっていた。多分これを進化させると【真・古代竜の血脈】となるんだろう。分かってるぞ? そして恐らく、そこまで行ってようやく「エルルの言う竜の皇族」だ。
『次もまだ子供時代が続くってティフォン様に言われてるんだけど』
「あれ、お嬢知らねぇの? 種族進化スキルだけは上限なしだぞ。【成熟体】で確か、3000とかまでなら聞いたことある」
『……マジかぁ……!!』
と、いう事はー……今までの上がり方からして、前のスキルの倍のレベルになってる筈だ。それでいくと、次のティフォン様曰くの「強い子供」に相当する種族進化スキルのレベルがこの倍で1920。
で、その次は流石に【成体】の筈……筈……だといいな……だから、それの更に倍で……えーと、3840か。
――ははは【成体】のレベル上限の時点で4千近いってどういうことだろうなぁ!? ……まだ間にマイナススキルこと種族進化スキルが挟まったら心が折れるかも知れない。いや、ゲーム引退はしないけど。
『先が長い……』
「まードラゴンだしな。……お嬢は中身人間なんだっけ?」
『一応。まぁ頭に「異世界の」ってつくけど』
「そうかー。世界変われば変わるもんだなぁ……」
宝石美味しい。そしてカットの仕方によって微妙に味が違うようだ。これ、特殊調理スキルで料理にしたらどうなるんだろう。ちょっと未来の楽しみが増えたぞ?
でも知ってる。自分で作った宝石はそんなに美味しくないんだ。実はこっそりやってみたから知ってるぞ! あとお腹が膨れた感じもしなかった。永久機関は許さないって事なんだろう。
「まぁお嬢が進化したって事は、次の進化まで余裕あるって事だよな」
『そうなるね。むしろ当分先なのは確定かな』
「てことは、種族巡りも問題ないって事だな?」
『そうだねぇ。というか、それは急いだ方が良いよね』
「そりゃまぁ」
よいっせ、とでっかいドラゴンの骨を、財宝の山の上に置いてエルルが確認を取る。それに頷いてこちらも確認すると、それはそれで頷きが返ってきた。まぁ、だよね。のんびりしてて滅亡した種族があるとか笑えない。
……のだが。何故か腕組みをして考え込む姿勢のエルル。
「……けどなぁ。正直、お嬢の成長って意味だとぶっちゃけ此処最高だからなぁ……」
『何考えてるのかと思ったらそっち?』
「そりゃそうだ」
詳しい理屈は不明だが、【吸収領域】によるレベル上げは効率がおかしい。もちろんプラスの方向で。はっきり言って他の追随を許さないんじゃなかろうか? ボス連戦より良いかもなんだぞ?
で、その効率を最高にするには、力のある物(アイテム)が山ほどある場所が必要で、この谷底には見渡す限りの魔力結晶、財宝、装備、ドラゴン筆頭に各種族の骨と、色々な意味でのお宝には事欠かない。
まー私の成長という意味では、此処を越える場所は無いだろう。これらの財宝に所有者らしい所有者が見当たらず、リアル1年(=ゲーム内4年)に一度リセットされるのも大きい。
『私の成長より、種族の存亡の方が大事でしょ』
「…………お嬢だなぁ」
っが、それはそれこれはこれだ。確かに私の成長は大事だが、それにかまけて滅んだ種族がいるとか後味が悪いなんてもんじゃない。ただでさえガチで滅ぶ可能性が全くこれっぽっちも否定できないんだぞ?
んで本当に滅んでたら、普通にトラウマになるっつの! 下手したら現実でもうなされるわ! てーか下手したら逆恨みの呪詛とか来る可能性あるし!!
『で、なんでそこで私だなぁって感想になるの?』
「そのまんまだけど?」
……まぁ確かに。完全に小心者の保身だもんな。皇族らしくはないか。今は(スキル的な意味で)皇族じゃ無いけど。
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