第77話 7枚目:イベントリザルト

 ひとしきりエルルに叱られて、結局日曜日は私が細かく寝起きログイン/ログアウトを繰り返し、その合間にエルルが財宝や砂を集める、という作業で終わってしまった。イベントの追い込み? 私が寝てるログアウトしている間にエルルがちまちま「たからばこ」を潰していたようだけど?

 イベントの終了は日曜日の24時まで。そこから半日が交換期間なので、月曜日が平日である以上交換チャンスは日付変更線直後にしかない。なので、ちょっと珍しいタイミングでログイン。


「あれ? お嬢、寝たんじゃないの?」

『ちょっとだけー』


 ぐっすり寝る長時間ログアウトするという事で大きめの山を作ってもらっていたのだが、それも既にすっかり砂の山になっていた。なのでせっせと次の山を作る作業に入ったエルルを見送りつつ、メニューからイベントページを開く。

 今回交換は“中立にして中庸”が一括して担当だ。なので、交換品には可もなく不可もなくという品が並んでいる。此処に特に変化は無い。

 となれば順当にまず「白紙のスキル書」をぽちって、装備を検索除外、あとは……。


『エルルー』

「どした、お嬢」

『なんか欲しいのあるー?』

「うん?」


 ずるずるずるーっとでっかいドラゴンの骨をひきずって移動させていたエルルが作業を中断して寄ってくる。……ちょっと目を離しただけなのに結構すごい山になってるんだけど?

 まぁそれはそれとして、とイベントページを見せる。あー、って顔をしたエルルは少し考えて、


「んじゃあこの「キット強化」って奴と、この辺一式と……うん? この換金品って何、お嬢」

『換金品……えーと、金の延べ棒とか宝石とかみたいだね』

「じゃあそれで。もしかしたら珍しい宝石があるかもしんない」


 素直にエルルに意見を求めた所、生産道具を強化するツールと、種や苗木と言った生産素材系が並ぶ辺りを一式、そして、推定宝石である換金品というリクエストが。

 流石エルル、と思いつつ、言われた通りにぽちっていく。うーんこのポイント量、使っても使っても減らないというのはいい気分だ。え、ランキング? 総合3位で個人3位だったよ。上2人が想像余裕過ぎる。

 そして「換金品」の部分をぽちっとすると


『うわ』

「うお」


 思わずエルルと声が揃った。ポイントとしては高くない、というか、端数処理用だろうか? という低さだったその項目を選択して出てきたのは、ずらっと並ぶ大量の品目リストだった。

 とりあえずざっと目を通してみるが、エルル曰く宝石とそのカット方式が並べられているのがほとんど、中には希少な金属や鉱石もあるとの事で、この瞬間に私のメイン報酬が決定した。


『あ、ミスリルがある』

「あーほんとだ。うわ、アダマンタイトもあるのかよ」

『とりあえず全種類欲しいところだね』

「そうだな。カット方式で名前が変わってるのはその中から1個でいいんだし……」


 残りのポイントを全部突っ込むことが決定したので、遠慮なくぽちぽちぽちと選んでいく。もちろん「たからばこ」本体から出てきた分もあるので、それと見比べながら選んでいった。

 …………うん。夜中にログインしてるのをすっかり忘れてたよね。

 遅刻と居眠りは回避したとだけ言っておく。

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