第22話 2枚目:イベントのお知らせ
さて幽霊から白骨死体へと進化した(※比喩表現ではない)私だが、もちろんゲームとして考えるなら、正直クソゲーと言っていい作業をひたすらに続けていた。真面目に「第一候補」達と掲示板上で出会ってて良かった。
1人でやってたら、いくらボックス様とナヴィティリアさんが居てうちの子が待ってるとは言え、最低でも2・3回は投げている。これは剣と魔法の世界での冒険じゃない。ストレス耐久系の苦行だ。
いくら神が干渉し宗教戦争じみたものの仮想敵にされていると言ったって、限度がある。……実際、掲示板で発言していた内からすら、何人かデータ消去をしたプレイヤーが出たほどだし。
「コツ?(眷属降臨イベント?)」
そんな状況で現在ゲーム開始から約2ヶ月。9月の終わり頃に、そんな告知があった。最初のイベントからすれば随分と期間を開けたものだ。ちなみに、その間人里に辿り着けた魔物プレイヤーは、ゼロ。検証班の人たちの報告だから信用は置ける。
掲示板と並行してイベント通知の画面を開き、バラバラ白骨死体から骨格標本へと戻りながら2つの画面を見る。……自分で言うのも何だが器用になったものだなぁ。
さてそれはさておき、イベントのストーリーはこうだ。
召喚者達を世界に招き、その活躍と行動を見守っていた神々。その実力を人々に広める大会で、召喚者達が収めた成績は人々を大いに勇気づけた。その結果に神々も大変満足したようだ。
だが、その反動は思ったより早くやってきた。そもそも召喚者とは、この世界にとって無理に受け入れた異物だ。いくら神々が手を尽くしても、空間の歪みという形でその無理は現れる。
そこで神々は直接の部下である眷属を遣わして、空間の歪みを試練という形に落とし込み、召喚者達に突破させる事で、その歪みの解消を図る事にした。
まぁつまり、ダンジョンシステムの実装だ。なるほど時間がかかる訳だな? まぁ元々準備はしてあっただろうから、その結果としてゲーム開始から2ヶ月というタイミングになったのだろう。
イベント期間は土日を2回含む10日間。たぶん社会人にも優しい仕様なのだろう。まだ課金は出来ないから差が付くのはプレイ時間だけの筈だし。……そういう意味で言うと私のような学生も助かるな。
なおダンジョン自体はイベント後もランダムで出現したり神殿から行けたりするが、イベントとしての目玉は別にある。ストーリーにもちらっと出てきた「神」と「試練」という単語が関係してくるのだが、
「コツ、コツコツ(イベント時に限り、信仰している神の使徒が攻略を手伝ってくれる)」
いやその。
たぶん、普通一般プレイヤーからすればそっちではなく、「攻略したら神からご褒美が貰える」っていう事の方が重要なんだろうけど。ちなみに攻略したらポイントが貰え、神殿で好きなアイテムと交換できるらしい。
ただ。戦闘が苦手なプレイヤーへの救済策、なのだろう。本来は。うん。生産職とかそっちの。
「コツコツコツ!!(それすら無理なレベルで動けないのが魔物プレイヤーだっていうだけでな!!)」
具体的なシステムの説明としては、プレイヤーのスキルレベルを参照、総合スキルレベルの8割のポイントを、最高スキル値及び取得済みスキル数を上限として割り振ったNPCを使徒として作成、そのNPCを送り出してポイントを持って帰ってきてもらう、という事になっていた。
もちろん種族レベルが8割になるのだから、プレイヤー自身が動けるならそちらの方が良い。それに使徒NPCはスキルレベルが上がらないし、一度作ると作り直せない上、プレイヤーは使徒作成の後3時間の間、作成した時に居た街やセーフポイントから出られなくなる。
また、基本的に作れるのは1体まで。2体目以降は、かなり上の方にあるポイントの交換を行うか、最初に作る時に総合スキルレベルを頭割りした性能で作るか、だ。
「コツ、コツ、コツッ(つまり2体なら4割、3体なら3割弱、推奨パーティ人数の6体となると1割ちょっとか)」
流石に1割まで下がってしまうと、ダンジョン攻略、もとい神々の試練である以上は戦闘が予想される場所だ。厳しい物があるだろう。だから、作るとしても半減の2体までだ。
逆に言えば2体は作ってもいい。種族レベルが4割になる? 最大スキル値は越えられないから無理がある? ははは確かに。
「コツ(普通のプレイヤーならな)」
山のようなマイナススキルを課された魔物プレイヤー、その総合スキルレベルを舐めんな。夏休みが終わったとはいえ、進化してから1ヶ月経ってるんだぞ。
私でそうなんだから、他の固有名詞持ち達はもちろん、一般魔物プレイヤー達で今も残っている面々はレベルだけで言えば相当上位に属するだろう。そして、レベルさえあれば何とかなるという救済策が今回のイベントにはある。
だったら。
「コツ、コツッ(見せてやろうさ、魔物の力って奴を)」
……まぁ、文字通り神頼りなのは仕方ない。
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