第5話 1枚目:最序盤レベリング

 という訳で。そこからリアル数日は真っ暗闇の中でひたすら動き、うっかりと何かにぶつかっては死に戻り、また動き、死に戻りを繰り返しただけだった。お陰でというか何というか、種族レベルがガンガン上がっていったが。

 なお、種族レベルの上がり方は簡単だ。スキルレベルが合計で5上がると1上がる。マイナススキルはレベルが下がるとカウントされる。スキルはプラス5までは簡単に上がるので、あれだけマイナススキルが揃っていればすさまじい上がり方をするのは当然の話だ。

 あぁそれと、もう1つ。控えに回したスキルは、別に使えなくなる訳でもなければ、経験値が入らない訳でもない。ただその効果と獲得経験値量が1%に落ちるだけだ。


「ピッキュー(でないと耐性スキルの価値が暴落どころじゃないし)」


 ふへぇ。と気分的に息を吐きつつ、ふわふわと浮遊感のある身体をもがもがと動かす。周囲がどうなっているのかはさっぱり分からないが、手や足を振ると感覚がなくなる場所があるから、魔力がある場所があるんだろう。

 ……ただの魔力に当たるだけで霧散する(霊)体。うーん、マイナススキルがこれでもかと揃っているだけあって脆弱極まる。

 夏休みを活かして毎日最大ログインしているが、それでもまともに行動できるようになるにはまだまだかかりそうだ。


「キュゥ(ステータス)」



[Name:ルミル

Talent:ノーエレメント・ドラゴン・パピー・ゴーストLv7(next:4)

Skill:*【魔力耐性脆弱】Lv2

   *【属性耐性脆弱】Lv4

   *【物理耐性脆弱】Lv10

   *【虚弱魂質】Lv9

   *【意志薄弱】Lv14

   *【影響力低下・極】Lv12

   *【環境耐性低下・極】Lv20

   *【霊体】Lv26

   【浮遊】Lv2

   【非実体】Lv1

Inactive:[*【偏食・宝石】Lv30]Locked!

     [【大食】Lv10]Locked!

     [*【虚弱体質】Lv15]Locked!

    【鑑定】Lv0

    【採取】Lv0

    【格納】Lv0

    【錬金】Lv0

    【絆】Lv0

    【竜の血脈】Lv0

     [【生命力・極】Lv0]Locked!

    【成長強化】Lv0

    【共通言語】Lv0

    【魔物言語】Lv0

     [【人化】Lv0]Locked!

    【心眼】Lv0

    【魔力感知】Lv0]



 これがここ数日の成果だ。死に戻りするといくらかスキル経験値も失うらしく、死なないギリギリを見極められるようになると成長が多少加速した。

 他に分かったことと言えば、周囲が見えないのは影響力低下の影響だという事だろうか。【影響力低下・極】のレベルが下がるにつれて、微妙に視界に変化が表れ始めたからだ。

 と言っても、どれだけ目を凝らしてもまだ何も見えないのだが。先は長い。


「ピーッキュ、キュゥ(種族レベルが10まで上がれば、スキル枠が増えた筈)」


 じたばたと動きつつ、言語スキルが両方控えに行っている為、同種族にしか通じない鳴き声のような声で独り言を言う。これでも言語スキルに経験値が入っている筈なので、無駄ではない。

 ……まぁ、スキル枠が増えたところで、マイナススキルが2つも控えている。多分それが先に入るのだろう。その次は恐らく種族固有スキルだ。【竜の血脈】【生命力・極】【成長強化】あたりがそうだろう。


「ピゥプゥ、キュー(スキル枠6個は確定済みとか、先が長すぎる)」


 まぁそれはともかく、もう少しで【魔力耐性脆弱】スキルが消える筈だ。……脆弱、というだけあって、まだもう少し先は長そうだけども。


「プキュ、キュールルルゥ(そう言えば、サービス開始2週間のところで公式イベントがあるんだっけ)」


 内容は確か、プレイヤー同士の対戦だった筈だ。始まりの街こと『スターティア』には闘技場みたいな施設があり、普段は訓練所として使われているとの事。

 そこを見た目通りの使い方を行い、トーナメント制でプレイヤー同士の戦闘を行うのだそうだ。流石にそこまでに弱化の完全克服をするのは無理があるし、そもそも戦闘は苦手だから縁は無いだろうけど。

 普通のプレイヤーとして参加していても、きっと参戦することは無かっただろう。今はもちろんそれどころではないし。時間が足りなさすぎる。


「キュゥ、キュールルル(この分だと、1か月かかってもまともに動けるか怪しいなぁ)」


 勢い良く動いた結果として何かにぶつかり死に戻りしつつ、先の長さを独り言でぼやくしかなかった。


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