第4話 1枚目:ゲームスタート

 そして再び感じる重力。さらさらと川が流れるような音が聞こえ、遠ざかって消え、最後に視界が開けて、見えたのは


「キャーアアァウ!?(なんっっにも見えないんですけど!?)」


 ……見事な暗闇。ピュアブラック。しかも、ちょっと待て。今ちゃんと喋った筈の第一声が何か、こう、可笑しかったような。

 よーし落ち着け。落ち着いていこう。まずはそう、冷静に。落ち着いて行動、状況把握だ。大丈夫、ボックス様が噛んでる以上完全な詰みは起こらない。


「キュゥ(ステータス)」


 自分(?)の出している声がおかしいのはもう聞かなかったことにして、そう唱える。さっき説明されたばかりの中にある方法だが、一応これも動作確認という事で。

 そして目の前に展開する、半透明でそっけなく発光する、実体のない板。



[Name:ルミル

Talent:ノーエレメント・ドラゴン・パピー・ゴーストLv1(next:5)

Skill:*【魔力耐性脆弱】Lv10

   *【属性耐性脆弱】Lv10

   *【物理耐性脆弱】Lv10

   *【虚弱魂質】Lv15

   *【意志薄弱】Lv15

   *【影響力低下・極】Lv20

   *【環境耐性低下・極】Lv20

   *【霊体】Lv30

    【浮遊】Lv0

    【非実体】Lv0

Inactive:[*【偏食・宝石】Lv30]Locked!

     [【大食】Lv10]Locked!

     [*【虚弱体質】Lv15]Locked!

    【鑑定】Lv0

    【採取】Lv0

    【格納】Lv0

    【錬金】Lv0

    【絆】Lv0

    【竜の血脈】Lv0

    [【生命力・極】Lv0]Locked!

    【成長強化】Lv0

    【共通言語】Lv0

    【魔物言語】Lv0

    [【人化】Lv0]Locked!]



「………………」


 ずらっ。と大量に並んだスキルを見て、多分顎が外れていたと思う。同時に、大体察した。


「ピキュアァアアアアアアアアアアア!!(やりやがったな乱数の女神ぃいいいい!!)」


 ……叫んで落ち着いたところで、1つずつヘルプを見ながら確認していこう。


 【~耐性脆弱】

 これは大体分かる。耐性の逆だ。つまり、ダメージを受ければ耐性がついて消える筈だ。現時点では問題があるスキルが1つあるが、それはまた後で言及するとして。

 【虚弱~質】

 これも大体分かる。状態異常への耐性だ。これも状態異常を受ければ耐性がついて消える筈だ。……控えに入っている分が問題なのだが、それもまた後で言うとして。

 【意志薄弱】

 これは、ヘルプによれば「威嚇」や「オーラ」的なスキルの弱化らしい。つまり、逃げられなくなったり、威嚇されたら動きが鈍くなったり、狙われやすくなったりする……という事だろうか。戦闘を重ねれば消えそうな感じだ。

 【影響力低下】

 なんか極とかついているが、ただのランクなので割愛。影響力、というのは、ヘルプによればスキルの基礎係数のようだ。スキルとは世界に対して影響し、超常を起こすもの……という背景らしい。強くなればその内消える感じか。

 【環境耐性低下】

 ランクは割愛。これは簡単だな。つまり、地形ダメージへの耐性の弱化だ。これは耐性弱化なので、累積ダメージで消える筈。完全に消すには、色々な場所に行く必要がありそう、というだけで。

 【霊体】

 これは一見マイナススキルに見えないが、実は一番厄介だ。というのも神聖、退魔、自然光の3つの属性に対する弱化と、ステータスの割合低下、自然回復速度の低下、それ以外の回復手段のダメージ化、というものの複合だからだ。


「キーゥ?(死ねと?)」


 【浮遊】と【非実体】は種族固有スキルなのでこちらも当然外せない。やばいな、ボックス様がいるのに詰みかけてるぞ?

 まぁそれはともかく、何とかするにはもちろんダメージを受けるしかない。当然その過程で何度も死に戻りするだろう。いやぁゲームで良かった。


「キッキキュー……(この【非実体】が重ねて厄介だしなー)」


 なお【非実体】とは、物理属性無効、魔力属性倍加、空腹無効、食事不可能というメリットデメリット両面のある、ゴースト、と名の付く種族の汎用固有スキルだ。……そう、物理属性無効、なのだ。

 つまり、【非実体】がある限り、【物理耐性虚弱】は消えない。【虚弱体質】が控えに回って鍵がかかっているのもそのせいだろう。他のが消えればメインに上がってくるに違いない。


「ピキュ、キューゥ?(【偏食】スキルは確か、それ以外の物を食べるとダメージと状態異常が入るんだっけ?)」


 だからこれを克服するには、食事をするしかないのだが、うん。食事不可能特性があるのでこれもまた無理だ。だから控えに回って鍵がかかっているのだろう。

 ……うん。外せない種族スキルが10を超える種族は無い、とナヴィティリアさんは言っていた。そうだな。

 確かに。「一度に」外せない種族スキルは10を超えてないな……!!

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