第3話 前書き:キャラクターメイキング
Name:ルミル
Talent:
Skill:【鑑定】Lv0
【採取】Lv0
【格納】Lv0
【錬金】Lv0
【絆】Lv0
【】
【】
【】
【】
【】
Inactive:(無し)
フリアドのステータス画面はシンプルだ。ステータスは体力含めて一切表示されないし、職業はギルドがその役目を負う。実質、ステータスで分かるのはスキルだけだ。
で。そのある意味一番大事なスキルは、この初期設定で5個まで選べるらしい。ナヴィティリアさんに色々と質問をしながらこれらを選んだのにはそれぞれ理由があるが、共通の理由はこれらが「才能」に属するスキルだからだ。
「軽く地雷ですね、行動で取れるスキルと、取れないスキルがあるっていうの……」
『だからスキル書というアイテムがあるんですよ』
「絶対貴重品じゃないですかやだー」
なお何でそれが分かったかというと……ナヴィティリアさんの好感度が先程の会話で跳ね上がったのか、先々で得られる派生スキルのほのめかしや、スキルレベルを上げる事で使えるアビリティの一例紹介という形で随分と細かく重要な情報を貰ったからだ。
そんなところまで喋って大丈夫なんですか? という問いには『説明義務の範疇ですので全く問題ありません』との回答。頼りになるぅ。
でまぁ、スキルを選んだ理由についてはこの会話通りだ。特に【採取】とか、完全に地雷だろう。普通に行動で取れそうだもの。……まぁ、スキルが無くても採取行動自体は出来る。出来るが、その後のことを考えると、私的には必須レベルのスキルだった。
『攻撃系のスキルが1つもありませんが、大丈夫ですか?』
「戦闘は、その……中身の私が、動くのがてんでダメなので……【絆】スキルに頑張ってもらおうかな、と」
『なるほど。住民の子らと合流するのに必要、という以外に理由があったのですね』
「ありました」
ナヴィティリアさんは心配してくれるが、無理だ。棒を振り回すぐらいなら大丈夫だが、剣や槍を格好よく振って戦うとか、無理だ。精々が後ろから魔法をちまちま撃つぐらいだろう。弓? 投擲? 天然のドがつくノーコンですが何か?
でもって、魔法は全部後天的に行動で覚えられると来た。「才能」枠のスキルじゃないなら貴重な初期スキル枠を使う必要は、無いな? という訳で、生産職人かというようなスキル構成になった訳だ。
なお、スキルの取得数に限界は無い。アクティブにできる数は、初期で10個まで。後述の種族のレベルやギルドランク、装備などで増える事もあるらしい。控えとの入れ替えについて制限は無い。
『それでは
「あ、だから半分開いてたんですね?」
『そうですね。ただ、種族によってはいきなりスキル数が超過することもありますし、固有スキルは控えに移す事は出来ません』
「まぁ、でなきゃマイナスがマイナスになりませんものね……」
現実と同じ人間、ファンタジーでおなじみエルフやドワーフはもちろん、魔物も選択肢に入るようだ。獣人に至っては、そこに属する種族だけで他の全ての種族に匹敵する種類が居るらしい。
もちろん「人型である」という大前提があるから異形になり過ぎる心配は無いのだが……ベータテスターの話では、実は完全な魔物としてプレイする事も可能なようだ。その場合、人間としての動きをしたいなら【人化】というスキルが必要なようだが。
『
「……脳筋と名高い鬼族を選んでから【剛力】とかは取れるけど、ランダムだと【器用】とかになる可能性があるって事です?」
『基本的にはその種族に沿ったスキルが選ばれるので、今の例の逆パターンなら有り得ます。しかし、ランダム決定でしか出現しない種族も極低確率で存在します』
ナヴィティリアさんが表示する文字列を読んで、なるほどと頷く。極低確率に魅力を感じるかどうか、という事だろう。それに種族に沿ったスキル、ということは、大外れの全く使えないスキルにはならないという事だ。
……問題は、ランダムの中には魔物も入っていて、その中にはマイナスてんこ盛りの「詰み種族」と言われるものが混ざっている、という事なのだが。
「……、ちょっと気になったんですが、マイナスの固有スキルが5個より多かったらどうなるんですか?」
『その場合は、既に取得したスキルが下から順番に控えに回されます』
「すみませんスキルの順番入れ替えていいですか」
『控えに回すことが出来ない種族固有スキルが10個を超える種族は無いので安心して下さい』
「超えるって事はマイナススキルが10個ジャストの種族はあるって事じゃないですかヤダー」
ざっと自分で選べる種族を眺めたところ、種族固有スキルは最大でも3個だったので間違いなく極低確率のランダム限定種族なのだろう。
……まぁ、ベータテスター達の評価やコトニワの時を考えれば、マイナスが多ければ多い分だけきっちりと返ってくるものはあるんだろう、と思う。その分滅茶苦茶苦労する事にはなるだろうけど、ある意味その苦労こそがゲームの醍醐味だ。
「極低確率が信用ならない……9割以上は今表示されてる種族から選ばれるとしても、乱数の女神様は高笑いするものだし……」
『“偶然にして運命”の神は確かに女神ですが』
「居るの!?」
『居ますよ。そして大体そのイメージで合っています』
「しかも合ってるの!?」
ガチの乱数の女神様が居るらしい。えぇ、何それ。迂闊に乱数の女神様め! って叫べないじゃん……。
なんか、その叫びすらも楽しむ感じの女神様でもあるっぽいけど。けど。
「やだー。信仰してる神様聞かれたらボックス様って答えよ」
『ちなみに、我らが主は“神秘にして福音”の神です』
「“神秘にして福音”ボックス様。大変お世話になりました。これからもお世話になります。……有難みと善性が名前からしてよく分かる……!」
まぁその姿は真っ白い立方体の箱なんだけど。
イベント報酬とかを貰うときは、ボックス様の分体が送られてきてぱかっと開く、という演出だった。だからまんま宝箱というか、プレゼントボックスだったのだ。
「……乱数の女神様はともかく、ボックス様がいるんならランダムでも大丈夫な気がしてきた。あの神様ガチの理不尽は絶対許さないし」
『それでは、
「頑張る。頑張ってみます。大丈夫、ボックス様が噛んでるなら打つ手無しにはまずならない……筈!」
まぁ元のコトニワはゆるゆるのゲームのような何かだった、というのもあるんだろうけど。
『分かりました。それではこれで全ての手続きは終了です。『フリーオール・アドバンチュア・オンライン』の世界で、あなたが自由に冒険できることを願っています』
ナヴィティリアさんがそんな文字列を表示させると、くらっとまた強い眠気に似た眩暈が起こった。これがどうやらワープや場面転換の時の感覚のようだ。
VR酔いというものがある、と聞いていたが、たぶんこの感覚に慣れることが無かったり、もっと酷く感じる人がいるのだろう。中々大変だ。
そして視界は、一度暗転し──
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