黙示録戦争後に残された世界でたった一人冷凍睡眠から蘇ったオレが超科学のチート人工知能の超美女とともに文芸復興を目指す物語。
第56話 ルネサンス黎明期 『スピーチタレントヘヴン~おそらくは弁才天祭~』
第56話 ルネサンス黎明期 『スピーチタレントヘヴン~おそらくは弁才天祭~』
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その夜は、『スピーチタレントヘヴン』(訳せば弁才天・・・。)が行われることになり、
その晩は町の発展を祈願する祝いの夜となった。
ロプノール湖のほとりの広場にみんな集まって、木を大きく組み上げた。
あれ? まさか!? デジャヴ感あるんだけど? またキャンプファイヤー??
モルジアナと月氏の女性たちが、お酒と食事を懸命に準備中だ。
お酒はもちろん『楼蘭』の特産品のお酒『ココヤシ酒』だ。
また、食事のメニューは『楼蘭』でよく食べられている家畜のラクダバの乳『ラクダバ乳』を使った『ロプノールフィッシュのラクダバ乳のクリーム煮』や、
『新鮮ロプノールフィッシュの塩焼き』、『砂漠ウサギのサソリパウダー焼き』、『砂漠ウサギとスナイモのクリームシチュー』、『ふかしスナイモのココヤシ酒焼き』、
『ココヤシの実・サソリパウダーがけ』などなど。
砂漠ウサギの肉、ココヤシの実、砂地でもよく育つイモ類『スナイモ』、ロプノール湖に棲む魚『ロプノールフィッシュ』などを使った料理がたくさん並ぶ。
味付けは、悪魔岩「ラ・ピエドラ・デル・ペニョール」の岩塩や、砂漠に棲むサソリを砕いた『サソリパウダー』(時々死人が出るらしい・・・って大丈夫かよ!)、『ラクダバ乳』のクリームなど多彩だ。
大きく組まれた木のまわりを円形にみんなで囲んで座って、みんなで歌を歌うんだよな・・・。
オレたちもその円陣の中に加わり、この『スピーチタレントヘヴン』の祭りが行われるのを、ゆっくり待つことにした。
そうしていたら、旧鼠が大声で祭りの開始を告げた。
「これより、我らが月氏の新たなる門出のため、『スピーチタレントヘヴン』を開催する!!」
そして、旧鼠が厳かに呪文を唱え始めた。
「それでは! 火魔法『たき火』!!」
『かきねの かきねの まがりかど たきびだ たきびだ おちばたき あたろうか あたろうよ きたかぜぴいぷう ふいている』
また・・・『火魔法』って、落ち葉焚きの歌だよね・・・。
旧鼠の手の先から火が発生し、うず高く積まれた組木に燃え移る。
火があっという間に大きな炎となり、天高く勢いよく燃え始めた。
「みなさーーん! お手を拝借!! さあ、ご一緒に!!」
旧鼠がみんなに呼びかけると、みんなが大合唱する・・・。
『燃えろよ燃えろよ 炎よ燃えろ 火の粉を巻き上げ 天までこがせ 照らせよ照らせよ 真昼のごとく 炎ようずまき 闇夜を照らせ
燃えろよ照らせよ 明るくあつく 光と熱との もとなる炎~~っ!!』
レベル4の『火魔法』なんだよね。間違って魔法が発動したらどうするつもりなんだろうな・・・。
腕ききの魔法専門職レベルだそうだが、ありえるよね?
炎が勢いを増してるんだよなぁ・・・。
いや、やっぱ、まんまキャンプファイヤーじゃねえかよ!
しかし、小学校の時、るーたろうもハマエと一緒にキャンプに行ったことを思い出すなぁ。 ああ・・・懐かしい・・・。
モルジアナがオレたちの目の前にお盆に載せて運んでくれた。
「ジン様。どうぞ。おかわりもありますよ!」
「ありがと。モルジアナも食べてるかい?」
「ええ。ありがとうございます。」
うん。やっぱりこの雰囲気で味わう料理はどれもこの独特なお祭りの雰囲気もあって最高に美味しい。
このスパイスの効いた味がなんとも癖になる味に、ラクダバ乳のクリーム味、素朴な料理だがこれはこれでイケるな。
そして、お決まりのごとく『ココヤシ酒』が絶妙にアルコール度数があって、みんな酔っぱらって、最後はどんちゃん騒ぎとなった。
あ、もう一回言っておくけど、オレは死んでいたから精神年齢は18才だけど、肉体は5千才か、56億7千万才だから飲酒は・・・OKなんだよ。
法律違反じゃないよ?
法といえば、『オズマの法使い』という者がいるらしいな。気になる存在だよな。
みんなも会いたいと言っていた。『皇国』か・・・。なんとか入国許可をもらいたいものだ。
(マスター。グラウコーピスが世界を救うような勇者は『エメラルドの都』の『ヴァルハラ宮殿』に招待されるらしいと言っていました。)
(そうだったな。しかし、勇者か・・・。やはり、いるのか。この世界に『勇者』が・・・。)
(おそらくは相応の働きをした者の『称号』のようなものと推測されます。)
(職業の『勇者』ではないと?)
(いえ。現在はデータ不足でございます。)
(そっか。そのあたりもわかるといいな。『皇国』に行くためのルートを他にもないか、探そう。)
(イエス!マスター!)
ん・・・? そういえば、地図を作成するための計画はどうなっていたっけ?
あれ?そういえば、アイの配下の三匹ってどうなったんだっけ?
(お答えします。呼びかけに反応している様子がございません。調査が必要です。)
(こっちも調査が必要か・・・。あの人工衛星『コロンブス』墜落の調査も必要だしな。)
(そうですね。ワタクシたち下僕に指示を頂けますれば、片付けてまいりますが、いかがなさいましょう?)
オレはちょっと考えていることがあった。
「うん。そうだな。地図作成班とその三匹の調査を兼ねて、アイ! 君に頼みたい!」
「はい。マスター! かしこまりました!」
「それと、空輸のための飛行機か飛行船を造りたいんだ。それにはなにかいい知恵があるか?」
「マスター。さしあたっては以前、ワタクシが使用していた飛空艇『フライング・ダッチマン号』が『霧越楼閣』にございます。」
「おお! 飛行船あるのか!?」
「はい。ですが、マスター。もっと性能の良いものをお望みなら、大きな飛行生物を超進化させるという方法もございます。」
超進化か! コタンコロのようなヤツがもっといれば確かに有用だが・・・。
「ご主人様。我以上の性能を持つ者は難しいかと思いますぞ。」
コタンコロが自信ありげに言ってきた。
「どうなの? アイ。」
「はい。コタンコロの言うとおりでございます。コタンコロの身体は超合金ヒヒイロカネを基にした生体金属(ライブメタル)で強化しております。
材料のヒヒイロカネがまず手に入りにくいものであることと、生体金属と融合させるのに、その『魂』の質が問われます。よって、コタンコロを超える者ができる確率は・・・。
0.00000000001%未満の確率でございます。」
「わお!? じゃあ、その巨大飛行生物作戦はダメなんじゃないの?」
「マスター。強度は劣化するとはいえ、空輸便のために使う分には申し分ないかと推定します。」
「なるほど。平和利用には問題なしか。」
「イエス!マスター!」
「よし! じゃあ、人工衛星『コロンブス』墜落の原因調査と、巨大飛行生物捕獲作戦は、コタンコロ! 君に任せたい!」
「心得ました! ご主人様!」
「よし。それで後は地上の交易ルート確保のための地上班と、『情報屋ヤプー』のサルワタリが言っていた『三猿』の件か。」
するとそこへ、割って入ってきた者がいた。
「地上の交通ルートについては、僕たちに任せてほしいでチュ!」
おっと! ジュニアくん。いつの間にいたんだ?
ま、いいか。こちらから声をかけようと思っていたところだった。
「いいところに来たね。ジュニアくん。そうだな。オレの家『霧越楼閣』とこの町『楼蘭』、そして、『円柱都市イラム』をつなぐ交通網を作りたい。」
「ジン様。我が町『楼蘭』とジン様の邸宅『霧越楼閣』をつなぐ必要はありませんよ?」
そう自信たっぷりに微笑むジュニアくんのしっぽは・・・。
もちろん、ぶんぶんに振り回されていたのだった―。
~続く~
©「たきび」巽聖歌作詞・渡辺茂作曲
©「燃えろよ燃えろよ」(作詞:不詳/作曲:フランス民謡/作詞:串田孫一)"
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