第14話


2人の突然の登場に戸惑っている男2人に、ミリーが先手を打った。


「あら、マリアじゃない。殿下方と何かあったのかしら?」

「………ミリアンナはマリアと知り合いだったのかい?」

「ええ、共に茶を飲み、次の魔法実習でペアを組むほどには仲が良い友人ですの。」

「………そうなのか?マリア。」

「あ、はい。そうです。」

「魔法実習はミリアンナ達と組んでいるんだな」

「では、アズレイア嬢とはどのような関係で?」

「リリア様ともペアを組んでいます。友人です」

「………それはやめておいた方がいいかと。彼女は、あなたの隣にふさわしくありません。」


は?何ほざいてんのこの人。


「彼女は噂話というようなたわごとを好み、不確かな情報を集めるのが好きなのです。魔法も普通、成績も上の下、容姿はまぁまぁですが、あなたの美しさに比べれば見劣ります。」


その言葉を聞いた途端、元からマイナスだった好感度は地、どころか地獄まで落ちた。

人のことについて批評する資格、お前にあると思ってんの?婚約者ほっぽって私を追いかけて来るお前に!


こんな奴とリリーはずっといたんだ。心底から自分のことを下に見ているような男のために、花嫁修行も、社交もずっと頑張ってたんだ………

噂話を聞き集めているのだって、噂の中に隠れている本当の情報をいち早く見つけるため。

それもわからないのに勝手なことばかり言って………


「私の友人関係、殿下方に関係あります?」

「そんな悲しいこと言わないでくれ、マリア」

「ありますか?」

「どうしたのですか?なぜ怒っているんです?マリア」

「………本当にわかっていないんですね。」


友達を馬鹿にされて怒らない人いる?

もういい、こいつらと話すとどんどん怒りが溜まるだけだ。早めに決着つけなきゃ。


「行こう、マリー、リリー。みんな待ってる」

「ええ、そうね。それでは殿下方、失礼いたします。」

「……失礼いたします。」



その後も話しかけてた気がするけど、知らない。だって私以外にも“マリア”さんはいるかもだし。不敬だとか言われても、あいつらは私を罰さないであろうことはもう、わかってしまったから。











「あ!ルイスからだぁ!」


思わずはしゃいでしまった。寮に届いていた手紙の1番上にルイスの字を見つけて、すぐに開封する。



「なになに?えっと……


『マリアへ


学校生活はどう?元気?いじめられてない?なんて、マリアなら大丈夫だと思うけど。昔、いじめてきた子に正論突きつけて泣かせたくらいだもんね。ストレスはたまってそうだけど。


いい知らせがあるよ。

結婚式のことだよ。日どりはなんとか僕たちの希望通りになったよ。やっぱり聖女さまの結婚をしてきたようなところは雰囲気が違うね。僕一人だし、少しそわそわした。


今度戻って来られる?1ヶ月後なんだけど。数日間滞在して、他のこともいろいろ決めたい。



返事、待ってるよ。


ルイスより』


って結婚式⁈それなら早く帰るに決まってるし!あー、あの王子たちのせいで荒んだ心が癒されていく………」


って、返事しなきゃ。えーと、魔法実習から3週間、大きな予定はないから………



『魔法実習が3日後にあるんだけど、そこから3週間は空いてるよ。どうかな?』



これで良し。結婚式かぁ。………ミリーたちも呼べるかな?平民のだけど………







『じゃあ魔法実習の1週間後から、2週間戻ってきてくれる?それぐらいかかるから。』

『わかった!久しぶりに会えるね!あれからもう4ヶ月は経ったもの!』

『そうだね。手紙のやり取り、遅れちゃってごめん。ちょっと仕事が忙しくて』


「騎士の仕事が忙しかったのか………そんなに治安悪かったかしら」


まぁ、今考えても仕方がないな。………一応ソフィーに聞けば、アロイス?様の情報もらえるかも。聞いてみよ。

溜まった手紙を大事にしまう。


「ってもうこんな時間⁈明日から実習のための特別授業なのに………早く寝なきゃ!」



どたばたと駆け出しながらベットにスライディング。さすが貴族が通う学校。私の体を優しく受け止め、痛みどころか勢いすら消してしまった。



おやすみなさーい。

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