第13話

「マリア!ここにいたんだね。探し回ったよ。」


駆けよりながらそう行ってくる王子にいつも彼に向けている笑みを浮かべながら、口を開く。

ミリーたちはとっさに曲がり角のところに隠れている。見つかると、面倒なことになりそうだし。


「殿下方。どうかしましたか?」

「殿下方なんて呼ばないでくれ。どうか私のことはサニエルと呼んでくれ。」

「そんな私には分不相応です。」

「そんなことはない!いったい誰にそんなことを言われたんだ?」

「自分で考えたことです。誰にも言われていません、心配してくれてありがとうございます。」


これで終わり、と思えば次はメガネが話しかけて来た。


「ところでマリア、あなたは次の魔法実習のペアを決めましたか?」

「はい、決まってます。」

「そうですか、決まってないなら私とペアを………え?」

「決まってます。」


もう一度言ってやった。リリーたちと組むとは思わなくても、友達と組むとか思わないのかな。頭良さげに振舞っているくせに。


「なっ!決まっているのかい?いったい誰と!」

「友人とです。」


急に王子が話に入ってきた。お前たちの婚約者だよ。てかあんたたち2人で組みなよ。私はミリーとリリー。両手に花できゃっきゃとしてるから。

もう帰っていい?2人まだそこで待っててくれてるんだけど。と考えていると、王子とメガネは爆弾発言をして来た。


「ではその者とはペアを組むのをやめて、私と組もう。」

「流石です、殿下。私では思いつきませんでした。ではマリア、行きましょう」


はっ?どこに!


「受付はまだしていますから。」


なーーーーーー!!!!

普通もうペア決めました!って言われたら諦めるよね?なんでそのペアやめさせようとしてくるの?


所詮私は平民。貴族の中でトップに近い王子たちには逆らえない………

まぁ悪あがきはするけどね!


「あの、私もう正式に受理してもらったので、無理だと思いますよ?」

「そんなもの気にしなくていいんだよ。マリアは自分が組みたい人と組んでいいんだから。」


だから組んでるっつーの。頭沸いてんのかボケ。


正論を言っても意見変わらないの?これじゃあ、やばくない?

でも一回受理されたし大丈夫なはずだ。


「私はちゃんと、私が組みたい人と組んでいます。殿下が気にすることはありませんよ」

「あぁ、そういえと言われているんだね。かわいそうに。大丈夫。なんとかして助けてあげるから。」


やーめーてー!………もう無理、私の体力ごりごりに削れている。

そんな時、私の元に救世主が現れた。


「あら殿下、奇遇ですわね。あなたの婚約者、ミリアンナ・アミュラでございますわ。ご機嫌麗しゅう。」

「シジュン様、ご無沙汰しております。リリア・アズレイアでございます。」


そして2人は淑女の礼をした。そして声を揃えて、どこからか取り出した扇子を顎のところに添え、言った。


「ところでこんなところでどうかされたのですか?」

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