第11話

この茶会は合計6人いる。

ミリー、ミリーの弟セシルさん、ルーちゃん、そしてソフィー、リリー、私マリアである。


ソフィーは少し大人しめな美少女。これが本物の儚い系。腰まである濃いめの青色の髪を下ろし、本を愛する読書家。本なら、庶民向けのものにまで手をつけるらしく、私の知っている本も読んでいた。ソフィーっていうのは愛称で、ソフィア・ルガリアっていうらしい。


リリーは肩までのふわふわの赤い髪で、明るくて噂話が好きらしい。ルーちゃんたちによると情報網がすごいらしい。私と王子の話は、身分差の恋愛に憧れる下級貴族、平民の人たちが誇張して話していたらしい。

私もまだまだですわね、としょんぼりしてた。リリーも愛称で、本名はリリア・アズレイアというらしい。



「まぁ!マリアさんにはもう婚約者がいるのですか?」

「ええ、それはもうこっちがもうお腹いっぱいだと思うくらいに仲が良くて………」

「え?そうかな?そこまでかな?」

「そうね、しばらく砂糖なしでもいけるわってくらいかしら。」


だからいつも甘いパンは食べて行かずに家に持ち帰ってたの?!


「しかも幼馴染で小さい頃からの約束を………私たち貴族では政略結婚が多いものですから、少し羨ましいですわ……。」

「私の婚約者も、幼馴染といえばそうなのですが、いかんせん、我が強くて………」

「へぇ、リリーの婚約者、そんな感じなんだ。」


少し会って見たい気がする、と考えていると、ソフィーがくすりと笑った。苦笑だったが。


「リリーの婚約者とマリアはもう会っていますよ?」

「えっ?」

「あなたに最近つきまと……近づいてきている、ほら、眼鏡をかけた、頭の良さげなの……」

「あのメガネが⁈」

「ええ。」


えっ嘘。あのメガネってなにかと豆知識を披露してきて、貴方と私なら話が合う気がします、とかいってくるやつのこと?

そんな表情が出てたのか、リリーは少し困ったように笑った。そこにルーちゃんがまた新たな暴露をした。


「私の婚約者は魔術師団長の息子の、将来の魔術師団長と言われている男ですわ。カイトという名前なのですが……」

「え、あの私の魔力に興味津々で、すきあらば魔法使わせようとしてくる?」

「多分そうですわ。昔から好奇心が旺盛で。」


そう話すルーちゃんの表情を見てピーンときた。ははーん。


「あの人は私の魔力に興味あるだけだから、安心して!そして私はルイス一筋だよ!」

「あ、安心!?」

「え、好きなんじゃないの?」

「そ、そんなこと………」

「さっきその人のこと話すとき、すっごい好き好きオーラ出てたよ?」

「なっ!」


驚きすぎて固まってしまった。さらに追い討ち。


「確かに出てたわね。」

「出てました………」

「出てましたわ!」

「だね」


ミリー、ソフィー、リリー、私の順で追い討ちをかけられたルーちゃんの顔ははさらに真っ赤に染まる。それにしても………とソフィーが続ける。


「アロイス様もマリアさんに興味津々だとお聞きしました。」

「アロイス?様?」

「騎士団長のご子息で、殿下の側近の1人です。……私の婚約者なんです。」

「えっと……もしかして、意外と脳筋だったりする?」

「意外どころではないですね。」


あの男か!女子である私に対して勝負しないかと誘ってくるやつ!キラキラしい笑顔でさぁ!ていってくるけど、誰がやるか!


「その人は私と勝負したいだけだから、そういう興味しかないよ」

「そうですか。」


少しホッとしたように息をつくソフィー。

おや?これはひょっとしなくても?

隣でもごもごと何か言いたげにしているルーちゃんに視線を送り、私が取ろうとしていたケーキをルーちゃんのさらにそっとおく。


「なぜ私の時だけ………」


なんかいってるけどしーらない。




こうして第一回、私たちの茶会は幕を閉じた。

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