第10話
私たちを連れてミリーが向かったのは、とある一室の部屋。
広々としている部屋に、綺麗に並べられたお菓子。見ただけで食欲が湧いてきた。
じゅるり。
「ヨダレがたれておりますわよ。これでお拭きなさいな。」
そう言って渡された一つのハンカチ。差し出してきた方にはまったく、といった表情をしているルーちゃん。
「ありがとうルーちゃん」
「気になさらず………ってルーちゃんってなんですの?!」
「名前覚えられなくて」
「る、り、い、め、り、あ、ですわ!」
「ルーちゃん」
「覚える気がないのですか!」
「………ルーちゃんって呼んじゃダメなの?」
うるるっと瞳を潤ませながらルーちゃんの方を見る。うっ、と言う顔をした後、ため息をつくルーちゃん。ふっ、勝った。
「し、仕方ありませんわね。ルーちゃんでいいですわよ。」
「ルーちゃん!ありがとう。下町でのミリーの様子教えるね!」
「まぁ!では私は社交界でのミリアンナ様をお話しいたしますわ!」
私も聞きたいですわ、とほかの令嬢たちも集まり、ここに『ミリアンナファンクラブ〜下町と社交界どっちのミリーも可愛いよね会〜』が結成された。
案外貴族の人たちもお忍びを楽しんでいるようで平民に対する偏見や差別はないようだ。
あ、ちなみに会長はこの私マリアと、ルーちゃんが務めます。もちろんミリーには内緒でね!
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