第9話
「ええ、そうね」
あっさりと告げられた。
「ミリアンナ様は非常に優秀な方ですし、殿下のとなりに立つのにふさわしいと言われております。」
「へぇ」
「反応薄すぎませんこと?」
未来の王子妃になられるんですのよ?とルー何ちゃら………言いにくいし、ルーちゃんって呼ぼ。
ルーちゃんはそんなミリアンナに憧れていたらしい。だからこそ私を呼び出したんだろう。
「それにしても驚きましたわ。まさかミリアンナ様があんなに焦った顔をなさるなんて………」
「そんなに珍しいの?」
「ええ、それはもう!『氷の美姫』と言われているミリアンナ様があのような表情をしていたところを見たことがある人はかなり少ないと思います。」
「『氷の美姫』……?」
「ちょっ!ルリィメリア様?」
「いつも冷静沈着、動揺なさらずに対処する上に、あの美貌。魔法属性が氷という点からもきていますが。さっき言った通り、表情がころころ変わることが滅多にないので、そう呼ばれているのですわ!」
「へぇ!あのミリーが………」
ニヤニヤしながらミリーの方を向くと真っ赤な顔を手で覆い隠してうなだれていた。
「どうしたの、『氷の美姫』さま?顔が真っ赤ですわよー」
「もう!マリア、からかわないでちょうだい!………だから知られたくなかったのに」
そう言いながら彼女は扇子でパチリと音を鳴らし、わざとらしく咳払いをする。
「こうして話しているのも何かの縁です。よければ私が今から予定していた茶会へ来ませんこと?」
この場にいる全員に視線を向けながらミリーが言った言葉にルーたちは驚いている。
「今からですの?私たちが行っても構わないのですか?ほかの方々に迷惑なのでは………」
「問題ありません。実は私と弟のセシル。もし都合が合えばマリアを誘おうと思っていましたが、2人でのお茶会の予定でしたの。」
あの男のひとはミリーの弟だったのか!そういえばミリー、よく帰るときに、家族にも分けるって言ってたような………
まぁ、こうして私はミリーの茶会に参加することになった。
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