第7話
入学してからはや2ヶ月、私はストレスを日々蓄積していた。
あの校門でのやり取りが、考えていた以上に知られていたのだ。何をいっていたかまでは知られていなかったが、助けられて、あの人とかなりの至近距離でいたところはばっちり見られていたのだ。それからは噂が流れ始め、ものすごく注目されている。
ただでさえ転入してきた平民だと目立っているのに………
あの人は王子だったらしい。この国の第2王子だとか。いや、なんで知ってるかというと教えられたというか、なんというか………
「ちょっと!何黙っておりますの?私達の話聞いていなかったというのですか?」
「え!あ、いや。聞いてはいたんですけど、どうしてそれを私が言われるのかなー、なんて」
はーい、今私は、すっごい高位そうな貴族の令嬢様達に囲まれていまーす。
わーいぱちぱち。嬉しくなーい!
いやね、なんでも殿下に近づきすぎたとか、婚約者がいらっしゃる人に近づくなんてーとか、身に覚えのないやつばっか。
むしろ私が訴えたくなるくらいあっちから近づいてくるんだよ。やんわりと断っているはずなのに、「君はなんて謙虚なんだ」ですっぱり。話通じてないんじゃないかと思ってる。
でもやっぱり王族だし、不敬罪とか怖いからやっぱり遠慮気味に答えるしかないんだよね………
「まぁ!今更なんてことを。殿下は最近あなたの事ばかり話しておりますのよ、婚約者の前で!ミリアンナ様が何かするたびにマリアはこうだったとか、マリアの方がどうだったとか!」
「はぁ?婚約者の前で?ほかの女の話を?」
「そうですわ!ミリアンナ様は優しいからあなたに何もいっていないようですけど、私はもう我慢できません!」
そのしらばっくれた態度が気に入りませんわ!と言いながら中心人物らしき彼女は大きく手を振りかぶった。
「マリア⁈」
きゅっ、と目を閉じたときに、私は懐かしい声が聞こえた気がした。
だがいつまでたっても衝撃がこない。不思議に思って目を開けると、そこにはさっきまでいなかった2人の人物がいた。
1人は私の前に立っている金色の長い髪を後ろで束ねている線の細そうな男の人。だがその手は私を叩こうとしていた令嬢の手をしっかりと掴んでいた。
そしてもう1人は、走ってきたのだろう。息を整えながらキッとあの令嬢達に視線を向けている。彼と同じような金髪を柔らかく横でまとめている私のよく知る女の子。私は思わず叫んでいた。
「み、みみ、ミリー!?」
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