夜明け
深い霧が揺らぎだし、海のように、星々のように、その身を
見れば、足下の
この大地が、初めて優しさを覗かせた瞬間であった。
一輪の花から、波のように緑が広がってゆく。
東の空には、装いを改めた朝日の、桃色の輝きと、少しばかりの
緑の
その様子は、空へと背を伸ばす果樹の艶やかな青葉、果実に隠れ、やがて見えなくなった。
更に高くそびえる北の
小川のせせらぎが、右から左へと、蘇ってなだらかに流れる。
夜明けと共に、何処からかやってきた小鳥たちが、後ろから前へと、滑るように飛んで行く。そして木の葉に囲まれた小枝にとまり、その色鮮やかな身を休めるのだ。
喜びを仲間と歌い合うと、再び
空を見上げると、大きく羽ばたく旅鳥の親子。七色の
雄大な石の古城を越えて、南の空へ消えていった。
男は貴族の
「美しい自然だ」
小さく
「これを待っていたのだろう?」
人型は、小さな岩に腰かけ、
「僕と、お茶をしよう」
男は、茶会の相手を見つけた。
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