エルフに赤ちゃん甘やかしASMRした

 翌日。


 うん。一睡も出来なかった。

 興奮して全く眠れませんでしたよ。


 エロフが起きた瞬間に私の顔を見て驚く姿が見たかったので、もうしばらくこのままの体勢でいたいと思います。


 ふにゅふにゅ。


 はぁ最高。ここが私のホームかもしれません。


「ん……ううん?」


 顔全体でエロフのお胸様を堪能していたら、どうやら目覚めたようですね。楽しみだなぁ。


「……ンロイ、あなたも、まだまだ、子供ね……スゥ……スゥ……」


 どなたかと勘違いされて二度寝されてしまいましたね……。ンロイさん、弟か妹さんかな?


「お姉ちゃん朝だよ。起きて」

「……ん、もう少し寝かせて……」

「お姉ちゃん、起きないとイタズラしちゃうぞ?」

「……んあ? イタズラ……? ンロイ……なんだか声が変よ……?」

「お姉ちゃん?」

「んん? 本当にンロイなの……?」


 やっと違和感に気付いたようで、エロフの重いまぶたがゆっくりと開いて私の顔を直視しました。


「おはよう。お姉ちゃん」

「あ、あぁ……ッ! 違う、こんなの、違う違う、夢よ、夢よ夢よ……! あの子が一緒に寝ているはずが無いわッ! こんな事はありえないのよッ! 夢なら早く覚めてッ!」

「変なお姉ちゃん。起きないなら私も、もう少し一緒に寝ても良いよね?」

「やめて……やめてよ……あなたは、私の妹じゃないのよ……」

「お姉ちゃん?」

「あぁ……だけど……夢の中だとしても……あなたを、抱き締めさせて……」


 自分の過ちを許してくれと、そんな思いの籠った抱き締められ方をされてしまったので、おふざけもそろそろやめ時かなっと思いつつ、最後に一つ悪ふざけをして終わらせる事にしました。


「ねぇ、お姉ちゃん。そんなに許して欲しいなら、なんでもしてくれる?」

「……ええ、あなたが望むなら、なんでもしてあげるわ」

「やった! 約束だよンルヴァさ……ん?」


 一瞬だけ脳裏に契約魔法の文字が浮かびましたが、きっと気のせいでしょう。

 右手の小指が妙に熱かったりするのも気のせいです。

 ちょっと確認してみると赤いリング状の痣が浮かび上がっていましたけど、これも気のせいです。

 気のせいったら気のせいです!

 契約魔法なんて発動していませんってば!


「契約魔法を結んだわ。これで私は貴方の言う事ならなんでもするわよ。これで許してくれる?」

「お前が契約させたんかーい!」

「え? 契約魔法じゃ足りない? じゃあ、より強力な強制契約魔法を掛けて……」

「掛けんでよろしい! というか契約魔法も解いて……って解けないんかーい!」


 契約魔法の概要が脳内に流れて来て、双方同意で結んだ契約の場合は100年間執行され続けてその後、契約を更新するかどうか決め直すみたいです。


 って100年間っ!? 長寿を良い事にエルフのガバガバ魔法ヤバすぎぃ!


 ンルヴァが寝ぼけている隙になんでもしてくれる権利を頂いて、後でマッサージでもしようと思っていただけだったので、同意した覚えは無い、事も無いですけど、まさか契約魔法まで掛けて償おうとするとは、このエロフ、相当メンタルやられてますわ。


「……ところで、これって夢よね?」

「頬っぺたでも抓りましょうか? 答えは聞いてません」


 今までの腹いせも兼ねてンルヴァの頬っぺたをぐいっと両手で抓りあげました。


「痛い痛い痛い!? これ夢じゃない!? や、やめて! もう分かったから! そんなに強くしたら頬っぺた取れちゃう!!」


 思っていた以上にモチ肌でつい力が入り過ぎてしまいました。ずっと摘んでいたい頬っぺたですね。


「目は覚めましたか?」

「本当に貴方なのね? ねぇ、今までどこに居たの? なんで突然消えちゃったの? 私ずっと森の中を探し続けていたのよ? ケガとか病気とかしてない? もう突然消えたりしないわよね? 今までどうやって過ごしていたの? お腹空いてない? 喉は渇いてない? 冒険者ギルドにはもう貴方が帰って来た事を知らせたのかしら? 住む所はあるの? お金は大丈夫? 知り合いには無事を知らせた? ところでなんで貴方はここに居るのかしら? どうやって家に入ったの? なんで私のベッドで一緒に寝ているの? どうして貴方はそんなにウブゥ!?」


 今までの疑問やら心配事やらを一気に質問して来ましたが、ンルヴァの頬っぺたを両手でサンドイッチして口を閉じました。前世で見た黒いヤブ医者という作品に出てくるエスパー幼女のお決まりポーズ状態なので口は縦長に開いていますけどね。


「そんなに質問されても答えられませんよ。答える気も無いですけどね」


 頬っぺたから手を離して笑顔でンルヴァの頭を撫でてあげました。

 謎の美少女ムーブをすると大抵のお姉さんは口をポカーンと開けて思考停止するのでおすすめです。


「えっと……?」

「良い子良い子」

「あのね……?」

「よしよし」

「その……」

「えらいえらい」

「うぅぅ……」


 勝ったな。

 何の勝負に勝ったかは分かりませんけど。


 しばらく対面バブみASMRをンルヴァにしてあげていると、うとうとしてきたので、そのままベッドに寝かせて二度寝をさせ、私も一睡もしていなかったのでンルヴァの頭を撫でながら眠りにつきました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る