私が新世界の神になるという事だ

「さてと、スキル合成を始めますか」


 武具屋で買った装備をストレージから取り出して、ポーション化。

 剛力のポーション、防御力アップのポーション、素早さアップのポーションを作成。

 余った材料で指輪も作成。

 剛力の指輪、防御力アップの指輪、素早さアップの指輪をそれぞれ作り、ストレージに死蔵。


 いつも通りスキルレベルを1に調整して自分の体に合成。


「てってれー! ロトルルは剛力、防御力アップ、素早さアップのスキルを手に入れた!」


 剛力のおかげか体が軽く感じます。

 素早さアップで歩くスピードも速くなりました。

 防御力アップは……分かりません。

 試しに髪の毛を一本引っこ抜いてみましたが痛みのレベルは変わっていないのでよく分かりませんね。

 次に頬っぺたをつねってみましたがこれも以前と変わらず。防御力とは何ぞや?


「うーん? まぁ、今はいいか。さて次は何をしましょうかねぇ?」


 新たなる薬の調合? 食べ物の合成、未知なる物質の錬金。

 やりたい事が無限大です。


「……スキルの合成って出来るのかな?」


 ふと、思い付いてしまったので実験です。



「ふぅ、行くぞ! ……ぎぃいいいいいいッ!!」


 私のターンッ! ドローッ!

 私は左手の小指を生贄にロトルルポーションを召喚するぜッ!

 さらに速攻魔法発動ッ! メガポーションッ!

 メガポーションの効果により生贄となった左手の小指を再生!

 ターンエンドだッ!


「痛覚遮断スキルが欲しい! 切実に!」


 合成ミスをした時の保険用に作成したロトルルポーションをストレージに仕舞い、体内のスキルを合成していきます。


「まずは防御力アップと素早さアップを合成して……防速アップスキル」


 これは出来ると思っていました。錬金術師的に。錬金術使ってないけど。


「フフフ。また一歩、進化する事が出来ましたよ」


 幼女神様はどこまで私のチートっぷりを想像してますのやら。


「私が新世界の神となる事だ! なんつってね」


 神様になる気なんてさらさらありませんけどね。


「さて、どんどん行ってみようか!」


 合成出来るものは全て合成した結果。

 調合スキルレベル35、合成スキルレベル37、錬金スキルレベル40、鑑定スキルレベル20、ポーション作成スキル、飛行スキルレベル5、風光炎蘇生万病治癒転移魔法スキルレベル1、魔力回復スキルレベル10、剣術スキルレベル1、ストレージスキルレベル2、身体変化スキルレベル1、剛力防速アップスキルレベル1。

 という感じになりました。

 合成するとスキルレベルが1になってしまうのは仕様でしょうか?


「無理に合成する必要は無かったかな? ま、いっか」


 魔法スキルがごちゃ混ぜだけど、前よりも魔法のイメージがしやすくなった感じだし別にいいよね?


 転移スキルを魔法スキルに合成した結果、任意の場所に転移ゲートを開く魔法を習得出来ました。

 これで転移事故が減らせますね。壁尻案件回避。


 蘇生スキルと万病治癒スキルも魔法スキルに合成したおかげか、怪我も治せるようになりました。もちろん蘇生も出来ますし、病気も治せますが魔力をかなり持って行かれるようです。その分、制約が魔力消費量だけになったのでそれは良かったです。魔力回復スキルも持っているので蘇生し放題。回復し放題です。


「スキル合成は夢が広がりますね。もっと色々なスキルが欲しいところ」


 世界中の武具屋巡りをしてスキル集めをするのも良いかもしれませんね。転移で帰るのも楽だし。

 鷹の目とか地図みたいスキルがあれば行きも楽になりそう。


 スキル合成は一段落ついたので食べ物の合成か錬金で部屋に飾るオシャレグッズでも作ろうかしら?


「むむ、何か思い付きそうな気配……?」


 スキル合成した影響か閃き力がアップしたような気がします。


 うーん、例えば種に能力アップ系のスキルを合成して成長させたら別の能力アップスキルを持った実がなったりするかも?


「試してみるか」


 実が多く出来る植物という事でブドウの種に、複製した指輪から防御力アップと素早さアップを合成。

 複製方法は指輪を縦に割るだけです。保存したい方を錬金スキルで成形し直してストレージに保存します。


 ブドウの木は外で育てましょう。

 家の中で大きくなられても困りますしおすし。


「この辺りで良いかな」


 自宅周辺は空き地だらけなので好きな場所に植えられます。

 気が向いたら畑作りしても良いかもしれませんね。


 スキル合成したブドウの種を地面に植えてハイ肥料ポーションを霧吹き。するとニョキニョキとブドウの木が生えてきて、あっという間にブドウがなりました。今更ですけどこんなんチートや、チーターやん! だがしかし便利ならなんでもして良かろうなのだの精神です。


「どれどれ鑑定鑑定……むむむ!?」


 ありましたよ! ありました!

 攻撃力アップに、こっちは回避力アップ!


「いいねいいね! イイッ!?」


 レベルアップ!?


 マスターされた鑑定スキルでもRPG的なレベルは表示されないので、てっきりスキルレベル以外は無いものだと思っていましたが、このブドウには確かにレベルアップと表示されています。


「指輪指輪!」


 レベルアップスキルについて詳細に知りたいので慌ててストレージから鑑定指輪を取り出し装備。


「レベルアップスキルとは、モンスターを倒すなどの方法で経験値を得る事でレベルが上がり、レベルが一つ上がる毎に能力値を上昇させる効果がある……」


 これ本当にレベルアップ出来るスキルだ!?


「やっば、さっさと合成しちゃお!」


 ブドウを液化して自身に合成!


「てってれー! ロトルルはレベル1になった!」


 鑑定で自身を調べてみるとレベル1と表示されてます。


「ククク、この世界で初めてかもしれないレベルアップ出来る人間になってしまったな……フフ、フフフ、フハーッハッハッハ!!」


 失礼しました。魔王のような高笑いが出てしまいました。


 まぁ、でも、今更モンスター退治とかしたくないですけどね。

 衣食住全て揃っているし、平和な街だし、魔王も居ないし、わざわざ危険な目に遭いに行く必要性は無いかなって思うんですよ。


 世界のどこかで悲劇に遭う人達は沢山居ると思いますけど、私が全てを救うなんて事は出来ませんし、せいぜい私の手の届く範囲で大事な人達を守れたら良いかなって思います。

 大事な人はそんなに居ませんし、これから先、そんな人が出来るとも思いませんけどね。なんせコミュ障なもんで。


「ま、強くならないとは言いませんけど」


 いかに楽して強くなれるか、色々試してみるのも楽しそうじゃないですか?


「とりあえず能力アップ系スキルを合成しましょう」


 実っているブドウを鑑定していき、生命力、精神力、意思力、集中力、持久力、耐久力、体力、魔力、筋力、魅力、視力、聴力、技術力、理解力、運命力などなど自身の能力を上げてくれるものや、毒耐性、麻痺耐性、睡眠耐性、気絶耐性、疲労耐性、痛覚耐性などの耐性アップ系スキルにアイテムドロップ率、経験値、金運、罹患率、死亡率、出生率、品質、水質、脂質などの変わり種もありますね。

 もちろん元が植物なので、大きさ、重さ、模様、栄養、糖度、食感、形状、風味、匂い、音色なんてのもありました。


「色々あって目移りしちゃうなあ!」


 楽しみが広がります!


 終始ニヤニヤしながらスキルを調合、合成していき、全能力アップスキルと全耐性アップスキルを獲得しました。


「ふぅ、今日はこの辺でやめておきましょう」


 流石に疲れました。

 いえ、実際はスキルのおかげで疲れてなど居ませんが他にやりたい事もあるので今日はこの辺でやめときます。

 品種改良? したブドウを全てストレージに保存して、本日の業務を終了します。


 空はいつの間にか夕暮れになっていました。どれだけ集中してたんや。


「帰ってご飯にしよっと」


 ツリーハウスに戻ってご飯の準備。

 晩御飯はキャベツと豚肉と生姜を合成して作った生姜焼きです。

 え? 豚肉と生姜と醤油とみりんとお酒? 普通に市場で買いましたよ?

 こっちの世界とあっちの世界の食生活に大差なんてありませんよ。

 流石に刺身とかお寿司とか味噌汁とか日本食はほとんど出回っていませんけどね。


 む、そういえば醤油やらみりんやらの出どころを聞いてませんでしたね。

 そのうち聞きに行きましょう。


「ではいただきます! もぐもぐ……うーん、微妙……」


 なんでも合成すれば良いという話ではないですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る