お姉さんに抱きしめられた
そういえば不動産ギルドのお姉さんに家が完成したら見せる約束をしていましたね。
早速お誘いに行きましょう!
街中で転移は色々な意味で危ないので飛行スキルと風魔法スキルを使って高速移動しましょう。
飛行スキルでちょっと浮かんで、風魔法スキルを使って背中から強風を噴射。
「あぎゃッ!?」
前のめりに地面と激突してしまいました。失敗失敗。
次は慎重に、少しずつ噴射します。
「お、おお、速い速い」
現在の飛行スキルレベルじゃ走るぐらいの速度しか出せませんが風魔法スキルでブーストすればこの通り、自転車並みの速度を出す事が可能です。
では不動産ギルドへ、いざ出発!
「こんにちはー」
「あら、いらっしゃい。秘密基地作りは順調かしら?」
「順調というか完成したのでお誘いに来たんですけど」
「え? もう秘密基地完成しちゃったの? 手抜き工事だったらお姉さんガッカリしちゃうなぁ……」
「大丈夫ですよ。見たらきっとびっくりすると思います」
「そう? それなら早速拝見しに行きましょうか」
「はい、あ、でも、まだお仕事中でしたね。夕方ぐらいに――」
「いいのいいの。他にも人は居るし、それに紹介した場所に問題が無いか確かめるのも仕事の内よ」
「それは、サボりたいだけでは……?」
「そうとも言う人が居るだけです」
「サボりですね」
「違うわよ」
「サボり」
「……さてと、ちょっと外回り行って来ますね!」
お姉さんに手を引かれて強引に外へ連れ出されてしまいましたよ。
「後で怒られても知りませんからね?」
「大丈夫よ。空き地が出ていないか、掘り出し物の物件はあるか探すのも仕事の内ですもの」
「それなら良いですけど」
「はぁー、仕事中に散歩出来るなんて清々しい気分だわ」
仕事から解放され完全にリラックスしたお姉さんが両腕を上げて伸びをしました。
「やっぱりサボりじゃないですか……」
「いいえ、これは仕事なの。辛くて苦しい重労働なのよ!」
「あー、そうですねー」
お姉さんがそう思うんならそうなんでしょう、お姉さんの中では。
「そういえばまだ名乗っていませんでしたね。ロトルルと言います」
「ロトルルちゃんね。私はテルラよ。よろしくね」
「よろしくです」
テルラさんの仕事と言う名のサボりに付き合い、街中をウィンドウショッピングしながら目的地の我が家へと向かいました。
「え? これが秘密基地!? 嘘っ……こんな家、家? 初めて見たわ……」
「ふふん!」
思っていた以上に驚いてくれたようで私は大満足です。
「え、でも待って、これどうやって中に入るのかしら?」
「こうやって入るんですよ」
「ひやあっ!?」
テルラさんに抱き着いて飛行スキルで飛び上がると、テルラさんが強く抱きしめ返してくれました。丁度私の顔がテルラさんの胸辺りの位置なので物凄い感触です! グヘヘ。
「もう着きましたよ」
「落ちちゃう! 落ちちゃうわ!」
「いや、もう家に着きましたって」
「助けて!!」
「みぎゃあああ!? 折れる折れる!!」
イタズラはほどほどにしようと思いました。
「死ぬかと思った……」
「ごめんね。高い所はちょっと苦手なの……」
「私も驚かせてしまってごめんなさい」
「大丈夫よ。それにしても素敵な家ね?」
部屋をぐるりと見渡し、テルラさんは感心した様子でした。
私のセンスは悪くないみたいで良かったです。
「ありがとうございます。せっかく来てくれたので何か食べていってください」
「ええ、それじゃあ、お言葉に甘えてご馳走になるわね」
雑草肉にトマキノコを添えてステーキに、デザートは普通にメロンでいいか。
手際良く料理を作っているとテルラさんが「うちの子になってくれないかしら?」という小さな独り言を呟いたのが聞こえましたが、今は料理中なのでこっちに集中します。
「お待たせしました。どうぞ召し上がってください」
「美味しそう! いただきますね!」
出来上がった料理を皿に盛り付け、それぞれダイニングテーブルに配膳しました。
ドリンクは健康ポーションです。味は野菜ジュースなので万病治癒ポーションよりは全然美味しく飲めます。後で果汁を合成してみるのも良さそうですね。
「これ美味しい! ロトルルちゃん料理すごく上手ね!」
「ありがとうございます。喜んでもらえて良かったです」
テルラさんの胃袋を完全掌握しました。
これで私に落ちるのも時間の問題ですね。
称号システムとかあればお姉さんキラーという称号が手に入りそうです。
その後は他愛無い談笑をしてお開きにしました。
家から出る時もテルラさんの胸に顔を押し潰されながら降りたので最高でした。
「ハシゴが欲しいわね」
「防犯上の理由でダメです」
「うぅ……」
テルラさんを街まで無事に送り届けたので買い物でもして帰りますかな。
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