悪ガキを成敗した

 衣食住は揃っているし、未開の地とはいえ市壁の内側なので危険もありません。

 さらにツリーハウスなのでワイバーンやドラゴンでも襲って来ない限り極めて安全です。


 ゴツンッ!


「ひぃっ!?」


 ドラゴンか!? ドラゴンなのか!? フラグ回収早過ぎぃっ!


「……石?」


 どうやら石が投げ込まれたようです。窓が開けっ放しでした。外に出た記憶はありませんがメモを残した私が外に出たのかもしれませんね。


 外を確認すると子供が次の投擲モーションに入っていたので、左手で自分の右手首を掴んで右手を指鉄砲の様にして狙いを定めて風魔法、エアガンでヘッドショットしてやりました。


「ぎゃあっ!?」


 悪ガキが頭を抱えて悶絶してます。はっはっはっ! 成敗!

 ちなみに光魔法のレイ・ガンでも同じような事が出来ますが火傷痕を残しちゃうと可哀そうなのでやめました。


「何すんだてめぇ!」

「それはこっちのセリフよ! あんたこそ石なんて投げて危ないじゃない!」

「う、うるせえ! 昨日までここには何も無かったはずなのに、なんでこんな木が生えてるんだ! それに何で木の上に家があるんだ! おかしいだろ!?」


 それはそうだけど石を投げるな石を。


「あんたには関係ないでしょ? さっさと帰りなさい。それとも、もう一発食らいたいのかしら?」

「やれるもんならやっ」

「バンッ」

「ぎゃっ!?」


 悪ガキが頭を抱えてのたうち回ってる。ははは。成敗!


「くそぉ! 覚えてや」

「バンッ」

「ぎゃっ!」

「忘れた方が身の為よ?」

「ちくしょう……! ぜってぇ」

「バンッ!」

「ひぃ!? ご、ごめんなさあああああい!」


 ふっ、悪は去った。



 しばらくすると、あの悪ガキが大人を連れて来ましたよ。まったくもう。


「あー、どなたかいらっしゃるかね?」

「はいはい、何でしょうか?」


 居留守でもしようかとも思いましたが後々面倒になりそうなので素直に返事を返しました。


「君だけかい? 親は居るかね?」

「親は元々居ません。私だけです」

「……そうかい。あぁ、うちの子が君にイジメられたと言っているのだが本当かい?」

「その子に石を投げられたので反撃したまでです」

「違う! 俺は一回しか投げてないのにあっちは何回も魔法を撃って来たんだ!」

「その子、自白しましたね」

「聞いていた話と違うじゃないか? お前から石を投げたのか?」

「ちがっ! あっちから先に!」

「バンッ」

「あだっ!?」


 親の前なのでデコピン程度の威力に抑えておきました。

 なんて優しいんでしょう私。


「嘘をつく度に撃ちます」

「すまない。ちゃんと言い聞かすのであまり魔法は使わないであげてくれないか?」

「その子の態度によります」

「……ほら、ちゃんと謝るんだ」

「くそぉ、……ごめんなさいでした!」

「今後は石ではなく声を掛けてくださいね」


 父親に耳を引っ張られながら帰って行く悪ガキであった。

 親御さんはまともそうで良かったです。

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