調合、合成、錬金で異世界スローライフ

新たな力を手に入れた

　心配してくれている人達をよそにさっさと宿に戻って、リュックの中身を確認すると鑑定ゴーグルとなんでもポーションキットが見事に壊れていました。最悪です。あのヤンキーども許すまじ！

　とりあえずテーブルに広げて直してみようと思いましたが、どう直せば良いかさっぱり分かりませんね。

　なんでもポーションキットの方はどうしようもありませんが鑑定ゴーグルは片目だけ残っていたのでまだ使えそうです。

　ふと思い付いたのですが鑑定ゴーグルで鑑定ゴーグルを鑑定するとどう見えるのでしょうか？ 試してみましょう。

「なるほどなー」

　鑑定ゴーグルの破片を鑑定すると鑑定レベル20と表示されました。

　今まで気付きませんでしたがこれって魔道具だったんですね。

　壊れてしまったポーションキットの方にはポーション作成と表示されました。

　レベル表示が無いので本当になんでもポーションに出来るのでしょう。

「……閃いた！」

　ピコーンと頭上に電球が灯りましたね。

　そんな事はどうでも良くて、今は閃いたアイデアを実行したいと思います。

　鑑定ゴーグルの破片同士を合成し、鑑定レベルが99を超えた所で鑑定とだけ表示される様になりました。やったぜ。

　この破片を自分に合成、はちょっと怖いので錬金スキルで液状化させてひと舐め。

　ギルドカードのスキル一覧を確認すると一瞬だけ鑑定スキルが表示され、すぐに消えてしまいました。

　視界に文字がビッシリという事態にはならない様ですね。くっくっくっ。

「やるぞ！ やってやる！ やる！ ……やっぱり怖い！ けど、やるんだ！」

　自分を鼓舞して、液状化したゴーグルの破片だった物を自分の体に合成！

「ひぃっ！？」

　恐怖で目を閉じました。

　目を開けたら文字でビッシリなんて事になっていたらどうしましょう……。

　……よく考えてみたら調合スキルで取り除けましたね。ははは。

　恐る恐る目を開くと、いつもと同じ視界に安心しました。

　カードのスキル一覧を見ると鑑定スキルが表示されています。

　しばらく様子をみてみましたが今度は消えることも無く定着したみたいですね。

　スキルは手に入った様なので鑑定スキルをどう発動させるかの実験です。

　試しに鑑定したい物を念じながら見てみると、脳内にその物の情報全てが雪崩れ込んできて一瞬吐気を感じたのですぐに止めました。鼻血が出て来ました。ヤバイですね。

　もしかするとスキルレベルを地道に上げないと体が耐えられないのでは？

　今の私では完成された鑑定スキルを使いこなす事が出来ないのだと思いました。

　でも、せっかく手に入れたスキルを諦めるのは嫌なので試しにその物の効果だけに絞って鑑定してみると吐気も鼻血も出ずに使えました。

　使い方を工夫すれば大丈夫そうです。良かったぁ。

　次はポーション作成スキルですが、これを自分に合成した結果、食事をすると全てポーションに変わってしまうなんて事を想像しました。

　まぁ、その時は調合スキルで取り除くだけですけどね。

　やるだけやってみましょう。

　ポーション作成キットの破片を液状化させて自分の体に合成。

　カードのスキル一覧を確認。スキルゲットだぜ！

　テーブルに置いてあるおせんべいを持ち、コップの上でポーション作成スキルを発動。

　手に持ったおせんべいがポーションに変化しました。瓶入りで。

　瓶はどこから来たの！？

「……幼女神様のお楽しみを垣間見た気がします」

　これは紛う事無きチートスキルです！ スキルを無限に増やせるなんてチートどころの騒ぎじゃありませんよ！ ひゃっほーう！

　今日は眠れそうにありませんね。