この星の名前を私達はまだ知らなかった
起きました! おはようございます! いざ空中庭園へ!
10歳児は眠るの速かったです。まだまだ子供ですね。成長薬を飲めば一瞬で大人の体にはなれますけど、不老不死なのでこのまま成長しないという選択肢もありかな?
うーん、肉体変化系のスキルが手に入れば良いんですけど。生やしたいですしおすし。
「通行証を確認、良い旅を」
空中庭園行きの通行証を売店で買い、でっかいゲートをくぐる所です。これぞ異世界! って感じでわくわくします!
うにゃうにゃとした渦の様な謎空間に入ると、一瞬の浮遊感の後に周りの景色が変わっていました。
「オエエエエッ!」
ゲートの周りで吐いている人が何人か居ますが、ゲート酔いというものらしいです。可哀想なのであまり見ないようにしましょうね。
アルスの空中庭園。
山の上とか想像していましたが島が浮いてますね。
浮遊系スキルか魔法の使える人がエレベーター代わりに人を運んでいるのが見えます。
私もスキルを手に入れて自由に飛び回りたいものです。
「往復1000エルだよ。それじゃ行くよ」
おじさんにお金を払い、肩に手を添えられると体が浮かび上がりました。
重力からの解放。ふわっとした感じ。宇宙飛行士はこんな感覚を味わっていたのでしょうか?
無事に空中庭園に着くと、まずなんと言っても空高くから見える景色が最高でした。嘔吐している人もちらほら居ますが気になりません。
「世界の果てまで見えそうですねぇ……」
平面世界では無く、ちゃんとした惑星の様なので果ては見えませんけど。
この星の名前を私達はまだ知らない。暫定的に地球と私は呼称します。
この世界で惑星というものに気付いた人は居るのでしょうか?
月もありますけど「夜の明かり」とか「夜光」などと呼ばれていました。
昼間でも見える時はありますが、夜ほど光っては無いので気付く人も少なそうです。
太陽は「天光」と呼ばれて信仰の対象になっています。
私も前世の記憶を思い出すまではあれが神様なのだと思っていましたから。
前世でも太陽信仰はあったのでその辺は同じですね。
さてと、景色は十分に楽しめたので、ぼちぼちアイテムの採取作業を始めて行きましょうか。
地面に生えている雑草や石ころなどを鑑定スキルで調べたいと思いましたが制御がうまく出来ず、視界に入った物の全ての名称と効果、効能がぶわあああっと頭の中に表示されて吐きそうになりました。次からは一つずつ慎重かつ丁寧に調べたいと思います。
「浮かんでいる石、浮かんでいる草、浮かんでいる花……」
鑑定スキルの調整が難しいです。
チートスキルを手に入れても使いこなせないと何の意味もありませんね。
「ぐぐ、天空草……効能は、僅かに体重を減らす」
一つ鑑定するのに精神をだいぶ持っていかれました。
これでは作業が捗りませんので、リュックから片目だけ残った鑑定ゴーグルを取り出してガラス部分を外し、その辺に落ちている枝をいくつか拾い集めて樹脂液にしようとポーション作成スキルを使いましたが樹液ポーションになってしまいました。
迂闊でした。
なんでもポーションキットは使用者の調合なり錬金なりのスキルを反映して作ってくれていましたが、ポーション作成スキルではポーションしか作ってくれそうにありません。アイテム生成ギルドの謎技術は本当に謎ですね。
スキルの同時発動などという高等テクニックは今の私には不可能です。
ですが樹液から樹脂を抽出する事が調合スキルで出来るので今は問題ありません。ちょっと手間ですけど。
調合スキルで抽出した樹脂を錬金スキルで丸サングラスのフレームに成形し、鑑定ゴーグルのガラスを二つに割って合成スキルで丸サングラスのフレームにくっ付けると。
「鑑定サングラスの完成です」
サングラスと言ってますが透明なガラスなので、その辺に落ちている黒っぽい石を調合スキルで黒色成分だけ抽出して合成スキルでガラスに色付けし、今度こそ本当に完成。
琥珀色の樹脂フレームに黒い小さな丸ガラス。
「胡散臭さ抜群ですね」
可愛い服を着た10歳の少女に、このサングラスはかなり胡散臭くなっている事でしょう。
気軽に話し掛けてくる厄介そうな人避けには良さそうです。
使い心地は鑑定ゴーグルと変わりませんが、ゴーグルよりは軽くて良いです。
普段使い出来るように樹脂をチェーンに加工してサングラスを首に掛けられるようにしました。これで完璧。
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