観光していたら喧嘩に巻き込まれた
冒険者ギルドを後にし、馬車に乗って隣街まで向かいます。
サマリお姉さんは心配するでしょうけど気にしません。放置プレイもありです。
薬師ギルドの方は、今回はお休みという事で。
「お嬢ちゃん、お使いかい?」
「いえ、隣街に用がありまして」
御者のお爺さんにお金を渡して馬車に乗り込みました。私以外にお客さんは乗っていなかったので貸切状態です。
馬車の出発時刻まで待っていると、もう一人お客さんが乗って来ました。15歳前後の男の子です。可愛い系の顔立ちでちょっと好みかも。
「……よろしく」
「よろしくお願いします」
顔が赤いですね。女の子に耐性無さそうです。
からかったりしませんよ? 可哀想じゃないですか?
男だった記憶があるのでその辺は分かっているつもりです。
馬車に揺られながら、暇つぶしとして拾っておいたその辺に落ちていた石ころを錬金スキルで鉱石変化させます。
どんな鉱石にしたいか決めずに使うとランダムに変化して、金鉱石になる可能性もあるので暇潰しには持ってこいです。
10回ほど変化させた結果、銅が8回、銀が2回という結果に。
隣街に着くまでまだまだ先は長そうです。
その後も銅と銀を繰り返し、隣街に着くまで終ぞ金色に輝く事はありませんでした。
鉱石変化が気になっていたのか少年がキョロキョロとこちらを伺っていた様子でしたが話し掛けてくる事はありませんでした。シャイなのかな?
馬車を降りると夕日が目に差し込んで眩しかったです。
日が落ちる前に宿屋を見つけちゃいましょう。
今度は警備のしっかりした所が良いですね。
「ごゆっくりどうぞ」
お高そうな旅館を見つけたのでそこにしました。
宿泊費は思っていたより安かったです。食事は出ないみたいですけど……。
温泉とかあれば良かったのですが、お風呂もシャワーもやっぱりありませんね。
体を洗う文化が根付いていないようです。よくてタオルで拭くぐらい。
寝るにはまだ早い時間なので市場を見に行きたいと思います。
市場に着きました。
ここも賑わっていて良いですね。露店などが多く連なっているので買い食いしながら見て回りましょう。
「串焼き一つください」
「はい、どうぞ!」
「ありがとうございます」
豚角の串焼きを買いました。甘塩っぱくてすごく美味しいです。はむはむ。
「ミックスジュースを一つ」
「はいよ」
色々な果汁を混ぜたジュースです。甘酸っぱくて美味しい。飲み終わったコップは返却するシステムです。
樹脂を加工して使い捨てのコップを開発して売る知識チートを思い付きました。
天然樹脂なので環境にも優しいです。
売ってくれる商人の知り合いが欲しいところですね。
一応、魔道具店を覗いてみましたが、やはり高くて使い勝手も悪い物ばかりでした。残念。
「なんだテメェ!?」
「あぁ!? やる気か!?」
魔道具店を出ると近くで喧嘩が始まったみたいです。
危うきには近寄らず、さっさと退散しましょう。
「ボムッ! インッ! パクトッ!」
「バクレツゥッ! ナックルゥッ!」
耳をつんざくような衝撃音と共に大きな物体がこちらに吹き飛んで来ました。
避ける暇も無く押し潰されてしまいましたよ。
生産職系スキルしか持っていない、か弱い10歳児の美少女では避ける事など出来ませんよ。か弱くも気高く見目麗しい10歳児の美少女なので! ここ大事。
「ゴフッ!?」
「ぐええええええ!!」
カエルが潰された様な声が口から漏れてしまいました。すごく痛いです!
「おい! 子供が巻き込まれたぞ!」
「大丈夫か!?」
「衛兵! 衛兵!」
「うぅ……重い……」
自分の体の上に、先程まで喧嘩していたヤンキーさんが覆い被さって意識を失っている様です。タスケテ。
周りに居た人達がヤンキーさんを退かしてくれて助かりました。
傍迷惑な人達ですね。まったくもう!
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