お姉さんたちをからかってみた

 アイテム生成ギルドに帰る前に薬師ギルドに寄ります。


「あ、ロトルルちゃん。ん? 何か良い匂いね? それに髪の毛サラサラじゃない? 急に美人になっちゃってお姉さんびっくりよ」

「お風呂に入りましたからね」

「お風呂……ですって!?」


 あからさまにお姉さんの目の色が変わりましたね。


「今日はハイポーション3本です」

「ちょっと待って! お風呂について詳しく!」

「ペットになってくれる話、ちゃんと考えてくれましたか?」

「その話、本気で言っているのならお姉さんにも考えがあります」


 神妙な面持ちでこれからお説教をしますよーと言わんばかりの仕草をとったので先手必勝です。


「お説教なんてしても無駄ですよ。私をどうしようともハイポーションは手に入りませんし、お風呂についても話しません。……はっ! まさか催眠、洗脳薬を――」

「そんな事しません! なんて事を考えているんですか!」

「そうですか。ちょっと残念です」

「あなたが何を考えているのかさっぱりわかりません……」


 頭を抱えて悩むリリルリお姉さんも中々にグッド。


「ではハイポーション3本の買取お願いします」

「むぅ、30万エルです……」

「それじゃお姉さん。ペットについてちゃんと考えておいてくださいね。じゃないと他の人に目移りしちゃうかも」

「な、何よそれ!」


 不敵な笑みを見せて立ち去ります。恒例行事になって来ましたね。

 帰り際に悶絶するのもお約束。お姉さんをからかえるのなら羞恥心ぐらい屁のカッパです。

 カッパはこの世界に居そうですね。


「もう! 遅くなるなら書き置きぐらいしていってよね!」

「……その距離感は、まだ早いかなって……」

「距離感?」

「心配してくれるのはありがたいと思いますけど、私達、まだそういう関係性じゃ無いかなって思いまして」

「え、っと?」

「つまりお姉さんとは知り合い以上友達未満という事です。ここで距離感を間違えてしまうと、私がお姉さんへ抱く好感度が下がります。下がりきった場合はお姉さんとのご縁は無かったという事に」

「そんな……」

「でも大丈夫ですよ。好感度は上げる事も出来ますから頑張ってみてください。好感度最大値でプロポーズすると結婚出来ますよ」

「結婚……!」


 ふふふ、いい感じにお姉さんが毒されて来ていますね。

 他人が聞いていたらこいつら頭おかしいって誰でも言うと思います。そういう自覚はあります。


 夕ご飯を作る余裕は無かったので、昨日のハンバーグに続いて今日もお姉さんの作った無味乾燥なシチューを食べました。

 何の感情も得られない食事に救いはありません。

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