お姉さんの健康を気遣った

「肥料……アルコール……液糖……乳液……油……ハチミツ……!」


 なんでもポーションキットを錬金寄りで使い、手当たり次第に花をぶっ込んだ結果、シャンプーの材料が出来ました。

 何故シャンプーの材料を知ってるのかって? 錬金スキルが囁いてくれたからですよ。勝手に頭の中に思い浮かぶ感じですけどね。


「調合、合成、錬金! はい、シャンプーの完成!」


 いつも作業でお世話になっている切り株の上に右足を立てて、腰に左手を当て、右手にシャンプーボトルを持ち、どや顔で天高く掲げました。


【ロトルルはシャンプーを完成させた!】


 というシステムメッセージが見えるようです。実際には見えてませんが。


 ちなみにこちらの世界のハチは牛ぐらいの大きさなので蜂の巣に近付けば死あるのみです。そんな訳でハチミツがほとんど出回っていません。


「味見味見、あまーい! こんな味なのかぁ」


 ポーション瓶に入っているハチミツをペロペロうまうま最高です。

 市場にレモンが売っていたらレモネードにして飲もっと。


 次はスプレーを作ります!


「霧吹きが限界か……」


 スプレーの作り方は思い付けなかったけど霧吹きでも全然良いです。

 試しにハイポーションの入った瓶に取り付けて霧吹きしてみると、綺麗な虹が出て来ました。メルヘン!

 凄く勿体無い使い方をしている気がするけど、いくらでも作れるからまぁ、いっか。


「おや? おやおやおや? 草花が急成長している……だと……!?」


 ハイポーションにそんな効果が!? 新しい発見です!

 調子に乗ってハイポーションの霧を撒き散らしていると、見る見る内に雑草が生い茂り、巨大な花々が咲き乱れて、本当にメルヘンな事になってきましたね。

 のちに花咲か少女さんという童話として世に名を残したりしないかな?


 そんな事より、このハイポーション霧吹きがあれば材料集めもいちいち移動する事もなくここに居るだけで済みそうですね。便利便利。


 その後はポーションキットを調合寄りで使い、ハイポーションを大量生産。

 部位欠損回復ポーション、長いのでメガポーションと勝手に改名した物もいくつか作成しました。


 次に健康ポーションを作る中で万病治癒ポーションが出来上がったので早速飲んでみましたが超ゲロマズでした。ドロドロ100倍濃縮青汁の味。って言っても分かんないですよね。カメムシジュースって言えば分かる人居ますかね?


 飲んだ後に自分の体を確認しましたが、ガリガリなのは病では無いらしいです。いっぱい食べて太りましょう。前世のオタク君も今世の私もぷにぷにが好きなんです。


 アイテム生成ギルドに戻って来ると「お帰りなさい」とサマリお姉さんが優しい笑顔で出迎えてくれました。

 私は「ただいま」と返事を返し「お姉さんにプレゼントがあるの」と言って超ゲロマズポーションを強引にお姉さんの口に突っ込み飲ませました。慈悲も無し、いえ、この場合慈悲はあるのでは? 健康にしようとしているのですから慈悲はありますよね?


「うっ……マズイ……」


 お姉さんの目から光が消えて力無く椅子にもたれ掛かる感じは最高にゾクゾクしました。このまま無茶苦茶にしてやりたい欲望をこらえて健康になれるポーションだと説明しました。


「そういえば……肩凝り腰痛が治ったわ!?」


 良かった良かった。

 終わり良ければすべて良し!


 夕ご飯はお姉さんが用意してくれた美味しくも不味くも無いハンバーグでした。

 今度からは私が作ってあげようと思います。

 私が居ないと世界の終わりレベルまでお姉さんを私に依存させるのもイイかも?

 我ながら鬼畜ですね。てへへ。

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