女子力を無くしたお姉さんをからかってみた
「という事があったのでお姉さんの家にしばらく泊まって良いですか?」
現在、アイテム生成ギルドのお姉さんの家にご厄介になろうとしています。
「え、ええ! ロトルルちゃんなら大歓迎よ! 家って言ってもこのギルド、自宅も兼ねているんだけどね」
「だから人が居ないんですね」
「え、どういう事?」
「なんでもないです」
お姉さん絶対毎晩お酒を飲みながら愚痴ってそうだもんね。突然泣き叫んだり、怒り出したりする様子が目に浮かぶ。※この妄想はフィクションであり、実在のお姉さんとは一切関係ありません。
「それより荷物を無限に入れられるリュックとかありませんか?」
「露骨に話をそらしましたね? そんな物があれば今頃このギルドは大盛況でしょうに」
「では、ただのリュック貸してください。宿屋から荷物運ばないといけないので」
「そういう事ですか、ちょっと待っててね。リュックリュックっと……」
ガラクタ置き場をガチャガチャ漁ってホコリを被ったリュックを取り出しましたね。別に良いですけど。
パンパンッと手でホコリを払って「はい、これ」と笑顔でリュックを渡してくるお姉さん。そういう所だぞ!
「女子力を捨てて来ましたね」
「女子力? って、何かしら?」
キョトンと首をかしげるお姉さん。子供のまま成長してしまったのですね。よく分かります。大人になるって難しいね。
私は前世よりは全然大人なので、きちんと「ありがとうございます」と御礼を言う事が出来ます。えらい!
借りたリュックを背負って宿屋に戻り、棚に入れたハイポーションやなんでもポーションキット、鑑定ゴーグルをリュックに詰め込んで、宿屋の店主に嫌味も込めてお世話になりましたと御礼を言ってやりましたよ。
お詫びとして1万エルを渡されましたが内心では子供として見くびっているようでした。形だけでは心は救われませんね。まったく。
アイテム生成ギルドの二階の一部屋を貸してくれるようなので、ありがたく住まわせて貰いましょう。
ここもガラクタだらけでホコリっぽいです。掃除ポーションとか作れないかな? 掛けるだけで清潔にしてくれるやつ。錬金スキルでスプレーを作るのも良いかも。
「さてと、宿賃代わりにハイポーションをプレゼントしてきますか」
一階に降りてお姉さん、サマリさん(38)にハイポーションを10本プレゼントするとフリーズしてしまいました。
「おーい、お姉さーん? 戻って来ないとおっぱい揉んじゃうぞー?」
「はっ! ハイポーション!? タダでくれるって本当!?」
「はい。自宅を購入するまでしばらくご厄介になると思いますし。引っ越しの挨拶も兼ねて」
「まぁ! まぁ! なんて出来た子なのかしら!? うちの娘になりませんか?」
「お姉さんの娘になったら結婚出来なくなっちゃいますね?」
「もう、またからかって」
「これから一緒に暮らすんですよ? お姉さんの努力次第ではそういう未来も大いにあると私は思いますけどね」
「……でも、女同士だし、ロトルルちゃんが大人になる頃には私、おばさんよ?」
「恋に年齢とか性別って関係ありますか?」
「う、あう……。か、からかっている、のよね?」
「お姉さんが本気なら私も本気で対応しますよ?」
「ぅ、あ、うぐ……」
うわぁ、顔真っ赤っ赤だよ。
またからかって泣かせるって? 私はそこまで鬼じゃありませんとも。キヒヒ……!
「お姉さん。私を落としたいなら誰の唾もついていない今の内ですよ? 将来何があるか分かりませんからね。あ、冒険者ギルドのシシドウさんって知ってますか? あの人結構良いと思ってるんですよねぇ。困った事があったら何でも相談に乗ってくれるって約束してるんですよ?」
きっちり唾付いてましたね。まぁ、シシドウさんとどうこうなりたいとかまったく思ってないので関係無いですけどね。
お姉さんの真っ赤な顔が一気に青ざめて行きました。面白い面白い。小悪魔ムーブやめられないっすわ。
「そ、相談事なら私! 私が聞きます! 何でも言って! お願いします!」
「そうですか。それじゃそうしておきますね。……今だけは、ね」
「ずっと! ずっと私だけに相談して! お願い! お願いします!」
「えー、ワガママですねぇ。じゃあ、家を購入するまではお姉さんに相談してあげますね。うふふ」
「ありがとうございます! ありがとうございます!」
お姉さん完全に弄ばれちゃってるわ。かわいそう……。
は可愛いよね。くひひ。
ひとしきりお姉さんで遊べたのでマジックバックを盗まれた鬱憤が晴れました。
ハイポーションをタダであげてるしwin-winだよね?
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