ギルド登録していった

 せっかく冒険者ギルドに登録したのだし、他のギルドへ行く前に依頼ボードでも見に行きますか。


 ということで冒険者ギルドの中で目立つ場所に設置された、立派な木材で作られている依頼ボードを確認しに来ました。


「スライムの捕獲、薬草採取、護衛(という名の話し相手募集)、おつかい……」


 冒険者ってやっぱり何でも屋さん的な職業なんだね。

 街の周辺には襲い掛かってくるモンスターなんて滅多に居ないし、居ても森の奥とか洞窟の中とか山頂とか、人が寄り付かない所だし、ゴブリン軍団とかオークの群れなんてのはこっちの世界でも御伽噺だよ。

 まぁ、ロトルルの知っている範囲の話しなので世界を巡れば何処かには居そうだけどね。


 ドラゴン討伐とか黄金ゴーレムの捕獲とかファンタジー的な依頼も張り出されているけど、冒険者は夢のある職業ですよっていうパフォーマンス的なものだろう。


 ボードに張り出されている依頼ですぐに受けられそうなのはおつかいぐらいだな。

 せっかく生産職スキルをくれたのなら鑑定スキルとかもあれば便利だったのに。


 異世界での初仕事がお婆ちゃんのおつかいではアレなので生産系ギルドを回ってみますかな。


 私の当初なる予定だった裁縫ギルドへやって参りました。


「カードは持ってるかな? それとも初めての登録かな?」

「ギルド登録をお願いします」


 冒険者ギルドで発行してもらった自分のカードを受付のお姉さんに渡して、無事に登録完了。

 ギルド登録に制限は無いので、後はレベルを上げて受けられる仕事を増やして行くだけです。


 依頼ボードに張り出されている仕事をざっと見てみる。


「綿花の納品、糸の巻き取り、染色の手伝い、雑用係か……」


 ま、レベル1で受けられる仕事なんてそんなものよね。

 雑用係が異世界で初めての仕事もアレなので彫金ギルドへ向かうとしましょう。


「鉱石採取、納品、金属納品、宝石類採取、納品……」


 彫金ギルドの受付にカードを提出して登録、流れるように依頼ボードを確認。

 採取と納品ばかりでアイテムを作らせてすら貰えない。

 レベル1が受けられる仕事じゃこんなことしかさせてくれないのか……。


 くそぅ、錬金だ! 錬金!


 錬金術ギルドへ向かい、受付にカードを提出、登録。

 流れるように依頼ボードを確認。


「薬草、毒草、蒸留水の納品……くっ!」


 うん、分かってたよ。

 蒸留水に至っては錬金術ギルドの庭にある雨水を貯めた容器から瓶に移し替えるだけの誰にでも出来る簡単な作業だった。

 こっちの世界じゃ大気汚染なんて無いし雨水に不純物なんて入りようが無いから出来る仕事ともいえる。


 その後も生産系ギルドを巡ってみたが似たり寄ったりな依頼内容でせっかくの異世界なのに夢が壊れる音が聞こえてきました。

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