日野くんと橋本さん。~正反対な二人~

雨模様 小粋

Story:Ⅰ






窓際一番うしろの席。ここ、あたしの特等席ね。

つい昨日あった席替えで見事引き当てた。

うん、一生分の運を使い果たした気がする!




莉緒りお~、何点だった?」




うわっ、びっくりしたよ、海莉かいりちゃん。

いきなり横から出てこないでよね。



……って、ん?

なんてん……ナンテンだったかって、なんの話?





「なにとぼけた顔してんの、数学の小テストだよ! さっき返されたでしょ」

「ああ! そういえばそんなのあったね」

「アンタはもっと成績を気にしなさい」




海莉ちゃんにまたお説教されちゃった。

あたしだって頑張ってるんだよー?



そんなことを考えながら机の中を探ると、ぐちゃぐちゃの解答用紙が出てきた。

あ、海莉ちゃん、それ見て顔引きつらせたでしょ。

たしかに女の子の机の中身とは思えないけど。




ふてくされながら解答用紙を広げてみると、赤ペンで書かれた点数。

……うん、これにはあたしも引きつるよね、顔!





「……0点って、またノー勉だったでしょ」

「てへ、あたしが勉強なんてするわけないでしょー、やだな海莉ちゃん」

「しなさいよ」





わお、海莉ちゃん、まさかの即答。

だってあたしがいまさら頑張っても無理無理!





「……ほんと、なんでこの子がモテるのか永遠の謎だわ」

「えー、もしかして褒められてる?」

「一切」





ひどい……あまりにひどいよ、海莉ちゃん!

っていうか、あたしってモテてるの?

へえ、そうなんだ! 初耳!




そうやって海莉ちゃんと話していると、教室の中央から男子の大きな声が聞こえてきた。





日野ひの、また100点かよ!」

「流石学年一位!」





日野くんっていうと……学年一の秀才って言われてる、あの日野佑都ゆうとくん?

へえ……やっぱり頭いいんだあ……。





「アンタとは大違いね」

「あたしもみんなに褒められたーい」

「褒められるとしてもせいぜい容姿くらいね」

「えっ、海莉ちゃんに褒められた!」

「どこまでもポジティブ……。尊敬するわ」





けなしてるようにも聞こえなくもないけれど、そんなこと気にしない!

そう決心してもう一度前を向くと、慌てて前を向く日野くんの姿が目に入ってしまった。



……え? 今、あたしのこと見てた?





「どうしたの? 莉緒」

「う、ううん! なんでもないっ」





でも、きっと……気のせいだよね?






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日野くんと橋本さん。~正反対な二人~ 雨模様 小粋 @amemoyou_koiki

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