第9話

幽霊を人と言っていいのかとも思ったが、話をしていると生きている人間と比べてもなんの違和感もない。


会話の方法はまるで違うが。


俺は聞いた。


――これまでに優しそうな人はいなかったのか?


――うん。何人も人は来たけど、みんな怖いというかバカというか。不良みたいな人が多かったから。


まあ心霊スポットにいくやつなんて、全員とは言わないが多少やんちゃなやつが多いだろう。


彼女はそのことを言っているのだろう。


――とにかく山が当ってよかったわ。


――うん、ありがとう。


――それじゃあ。


その日はそれから言葉は入ってこなくなった。


頭の中で話しかけてみたが、返事はない。


話す回数とか時間とか、なにかしらの制限でもあるのだろうか。


それともただ面倒だから返事をしないのだろうか。


まさか寝てるってことはないだろうな。


ていうか幽霊って寝ることがあったりするのだろうか。


肉体はないので身体を休めるなんてことはないが、精神のほうは休息を取らなくてもいいのだろうか。


考えたがわからない。


悶々と過ごして導き出した結果は、今度本人に聞いてみようだった。



朝起きて頭の中で話しかけたが、返事はない。

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