第7話

そう言われても、昔から世界上で幽霊と呼ばれている存在が、今俺に語りかけているのだ。


怖がらないほうがどうかしている。


するとまた言葉が入って来た。


――あっ、そうそう。明日学校でテストがあるでしょ。


――なんでそんなこと知ってる。


俺は思わず声ではなくて頭の中で返事をした。


それは幽霊に伝わったようだ。


返事が返ってきた。


――あしたのテスト、教科書の19ページから22ページまでが集中的に出題されるわよ。


――えっ、そうなの?


明日、俺が苦手な教科のテストがある。


だからどこかに山を張ろうと思っていたのだが、どこに山を張っていいのかわからなくて悩んでいたのだ。


それで半ば諦めてぼんやりとしていたのだが。


――ほんとうよ。わたしにはわかるの。生きている人間にはわからないようなことでもね。


口調、といっても声が聞こえるわけではないのだが、その語りから若い女性と思える幽霊が言葉を伝えてきた。


俺は聞いた。


――ほんとうに、ほんとうだな。


――ほんとうに、ほんとうよ。範囲が狭いから今からでも間に合うわ。頑張ってね。


そう言うと、そいつの存在を感じなくなった。


俺はその辺に放り投げていた教科書を手に取ると、19ページから22ページまでを何度となく読み返した。

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