第4話

いるだけで健康を害しそうだ。


――さっさと屋上に行くにかぎるな。


二階へ上がり三階へと向かう。


そのとき、なにか聞こえた。


いや、感じたというほうが正しいか。


――なんだ?


見渡したがとくにこれといったものは見当たらない。


俺は怖さが増し、少し小走りで階段を駆け上がった。


三階を通り過ぎて四階に着いた。


あとは屋上に行くだけだ。


すると再びなにかを感じた。


それがなんなのかは感じている俺にもわからなかったが、なにかを感じていることは確かだ。


なにも見えないしなにも聞こえないが、間違いなく何かが俺のすぐ近くに存在している。


足を止めると余計に感じてきた。


なにかが俺に迫ってきているような気がしてならない。


俺はほぼ全速力で屋上に駆け上がった。


扉を開けて屋上に入ると、目の前の壁に“夜露死苦”と書かれてあった。


――落書きってこれのことか。


あまりにも古臭く、あまりにもあふれていて、あまりにもチープ。


河本の姿は見えなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る