第2話

「たとえば、とは?」


「さっき言った、生きた人間にはできないことができるって」


「肉体を持たないから、とんでもない速さで移動したり。あるいは壁をすり抜けたり。なかでも一番やっかいなのが呪いだな」


「呪いなんてあるのか?」


「ある。しかも幽霊は人を呪っても殺しても、警察に捕まる心配が全くない。むこうが本気ならやりたい放題だな」


俺は思い始めた。


心霊スポットって、やっぱりやばいところなんじゃないかと。


黙っていると熊田が聞いてきた。


「いきなりなんでそんなことを聞くんだ?」


「いや、河本が心霊スポットに行こうと言ってきたもんだから。ちょっと聞いておこうと思って」


「ふうん。それで霊感のある俺に聞いてきたわけだ。一つ言っておくと、霊感のある人間は、心霊スポットなんてまず行かないよ」


「そうか」


「そうだ。一応忠告はしたぞ」


「わかった。ありがとう。参考になったわ」


「いやいや。こんなんでよければ」



そして俺は結局、心霊スポットに行った。


断ったのだが河本に押し切られたのだ。


河本は押しが強く、俺は押しに弱いのだ。


せっかく熊田に事前に聞いたというのに、無駄になってしまった。


心霊スポットと言われている場所は、大学からわりと近くにある廃墟だ。

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