第七話 芸を披露される
巣窟から外に出て、少し広がった野原に出ると、妖精のトビーと小人のルフナ、トカゲ人のリザートグラムは、野原のすみに座って、芸が披露されるのを待った。クリスとサマエルは、用心のために、野原の入口近くにある森に待機している。ここからでも、充分芸が見物できるとカインが保証したからである。
モンスターたちの芸は、たしかに平和でのどかなものであった。
色とりどりの玉を打ち合い、水の中ではじけさせるもの。
管弦の響きをかなでながら、地上でジャグリングするもの。
小さな玉を追いかけ回し、点を競い合うもの。
火を放ち、変身するもの。
クリスも、ほかの連中も、その芸の種類の豊富さ、技巧のたしかさにすっかり感心し、思わず歓声をあげ、拍手した。
「どうですか。我々は、けっして敵ではない」
カインは、自慢そうに言っている。
「あの芸を、ずっと同じ所でやらないんですね」
小人のルフナは、面白そうに聞いている。
「もちろんだ。どんな芸でも、おなじものを見せられたら飽きてしまうだろう」
カインは、威張って答える。
「こんなステキな芸だったら、国民もよろこぶわ。なんで叔父さんは、苦しんでいるなんて言ったのかしら」
妖精のトビーは、首をかしげる。
「芸が出来るモンスターというのは、味が変わるのか?」
トカゲ人のリザートグラムのほうは、まだ食事にこだわっている。
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