第六話 モンスターの巣窟にて

 さて、火トカゲの案内でモンスターの巣窟についたクリス一行は、そこがやたらと暑いので汗を掻きながら、歓待を受けていた。

「我々に、きちんと挨拶をしにきた種族は、おまえがはじめてだ」

 モンスターの王であるドラゴンのカインは、葡萄酒をクリスに勧めながら、満足げに言った。クリスは、この王の巨大で猛々しいさまに圧倒された。しかし、カインは意外とおとなしい。しかも、背広を着ていて、知性的であった。

「それにしても、ラボス国であなたたちは、いったい、なにをしていらっしゃるんですか」

 クリスは、話を詳しく聞きたがった。

「芸を披露しておる。ラボス国民も、よろこんでおるぞ」

 カインは、威厳を込めて答える。

「しかし、その芸のおかげで、ラボス国が苦しんでいる、と叔父から聞きました」

 クリスは、疑問を口にする。

「では、その芸を披露して見せよう。どれほど平和でのどかなものであるか、その目でとくと見るが良い」

 カインは、部下に命令した。

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