第五話 触ってみてもいいですか?


「触ってみてもいいですか?」

 小人のルフナは、あくまでも研究熱心である。 うなずく火トカゲ。ルフナは、そっと火トカゲをなで回した。

「よくできたぬいぐるみではなさそうです」

 クリスは驚きからさめると、冷静さを取り戻した。虎穴に入らずんば虎児を得ずという。火トカゲをうまく説得して、モンスターの巣窟に案内してもらおう。

「そうか。敵じゃないのなら、おれのところへ、友好のメッセージを携えてきたのだな?」

「まあ、そんなものです」

「おれも、一度モンスターの王と話をしたかった。案内してくれたら、褒美を取らせよう」

 火トカゲは、うれしそうに火を噴きながら、先に立って歩き出した。

一行は、おっかなびっくり、あとをついて歩いた。その間、火トカゲは、自分たちが流浪の民であることを告げた。定期的に町々を巡り歩いて、芸を披露して生活の糧としているというのである。ラボス国民が苦しんでいると聞いていたクリスは、すっかり驚いてしまい、退治をするという本来の目的をうっかり忘れるところであった。


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