第1章 第7話
カカシ道場とやらに入ってみると、だだっ広い板間に何十体ものカカシが並んでいる。
そして、そのカカシを相手に斬ったり殴ったり守ったりしている人がチラホラと。
『お邪魔しまーす。』
こんな時、なんとなく他人と隣り合うのを避け、遠い場所を選んでしまう。
そして片手剣と盾を装備してカカシを斬り付け始めた。
黙々と斬り付ける。たまにあがる熟練度。
斬るのに飽きると、武器を持っているカカシの前に移動し、盾で攻撃を防御する。
飽きたらまた斬り付けに戻る。
『はぁ…時間かかるなこれ…』
「あれ?作り直しじゃなくて、ほんとの初心者さん?」
後ろから声をかけられた。
『え?えぇ…』
振り向くと、黙々とカカシの攻撃を避け続けてる少年の様なプレイヤーが。
「入場用の熟練上げ?」
『あ、はい。
クエスト進めようと思ったら、熟練度が足りないって。』
「あー、あれがチュートリアルで一番めんどくさいんだよねー。
なかなか熟練度上がってないでしょ?」
カカシの攻撃を避け続けながら話しかけてくる。
『そうなんですよね。
2くらいまでは上がるんですけど、そこからが中々…』
それに倣い、盾でカカシの攻撃を受け流しながら答える。
「初心者さんに色々教えちゃうのはどうかとも思うけど…
まぁどうせすぐに分かることだからなぁ…
君、ネタバレとか初期のヘルプとかダメな人?」
ネタバレ、ヘルプ…あぁ。効率良いやり方教えたりとか、
初期では強い部類のアイテムあげたりとか、本人は良かれと思って
ゲーム初心者の一番楽しい部分を殺してしまっているというアレか。
別段、この世界を楽しみたい訳じゃないからなぁ…
『いや、全然ダメじゃないです。
良いやり方を知ってたら教えてほしいです。』
「オッケー。
とはいっても、カカシ道場での熟練度上げの話だけどね。」
「とりあえず熟練度って、
上がりやすい技術と上がりにくい技術があってね。
一番上がりやすいのが体幹。どんな技術だよって話だけど、
比較的何やっても上昇判定が得られるみたい。
そして他の技術は、
現時点で一番高い熟練度の数値と大きく離れてると、
上昇しやすくなる仕組みになってるんだよね。
だから、まずは体幹を一気に5まで上げちゃって、
それから他の技術を上げると良いんだよ。
で、その体幹が一番上がりやすくなるのが、
カカシの攻撃を避けること。
ギリギリで避ければ避けるほど、回避とか集中力も上がるし、
攻撃食らっちゃったとしても、打たれ強さとかも上がる。
武器と盾持ってカカシ行ったり来たりしてても、
なかなか熟練度上がらないからね。」
なるほど…そんな仕組みになってるのか。
『じゃぁ、こうやって避け続けてるのが良いんですね。』
さっそくカカシの攻撃を避け始める。
「あぁ、ダメダメ。
盾を持った状態だと回避の上昇判定が下がっちゃうから、
やるなら盾も外した方が良いよ。」
『あぁ、そうなんですね。』
カカシから離れてメニューを開いていると
「メニューもさ。
攻撃避けながら操作すると良いよ。こんな感じで。」
そういって彼は、攻撃を避けながら右手のブレスレットを胸で叩き、そのまま左手がサラサラと空を撫でた。
気が付くと右手に盾が現れている。
「ね。んで、外す時はこう。」
そのまま左手が空を撫でると盾が外れた。
「設定を操作して、メニューの透明度を上げておくとさ。
若干見づらくはあるけど、メニュー表示したままでも
向こう側が見えるからね。
いちいちメニューを閉じなくても周りの様子が把握できるし、
そうするといちいち開きなおさなくても、
すぐに装備変えたりアイテム使ったりできるんだよ。
これダンスプレーヤーならみんな知ってるテクニック。
ちなみにメニュー開くのも、
わざわざ左手の指でブレスレットを押す必要ないからね。
胸とか膝でメニュー開く意思をもってボタンに触れば、
それだけでオッケー。」
おぉ…そうなのか。
教えてもらった通り避けていると、みるみる[体幹]が上昇する。
『おー、確かに上がりやすいですね。』
「ここでの熟練度の上昇上限値は5になってるから、
体幹が5まで上がったら、後は好きなもの上げると良いよ。」
そんなに時間もかからず体幹が5になった。
次は武器や盾の技術を上げるべく装備を整えカカシに向かった。
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