第1章 第3話

改めて6種類の武器を見てみると、それぞれ一長一短で用意されてるようだ。

まぁ、チュートリアルというくらいだ。何を選んだって問題あるまい。

オーソドックスだと思う片手剣を選んで、今度は[はい]の選択肢に触れる。


「それではシステムの紹介です。

 先ほど手に入れた武器がプレゼントされています。

 まずは装備してみましょう。

 右手の手首にブレスレットが装着されました。

 ブレスレットのボタンを押してメニューを開きましょう。」


右手を見ると、いつの間にか細くて黒いブレスレットがはまっている。

手首の内側に当たる位置が丸く広がっていて、薄いボタンのようなものがある。

左手でそっと押してみる。


シュワンッ


目の間に丸いウィンドウが表示される。円の上には[メニュー]と書かれている。

ウィンドウは2重の円になっていて、内側の円にはいわゆるヒットポイントだろうか、

[100 / 100] という表示がある。

外側の円は均等に4分割されていて、[装備][アイテム][ステータス][システム] という表示がある。


「メニューが開かれましたね!

 装備の変更や使用したいアイテムの選択、ステータスの確認等

 システムに関する操作は、全てこのメニューから操作します。

 では、装備メニューを開き武器を装備してみましょう!」


分割された外側の円の[装備]に触れる。

分割された部分が光り、[メニュー]に被るような形で2つ目の丸いウィンドウが表示された。

ウィンドウの上には[装備メニュー]の表示。

やはり2重の円になっていて、内側の円には

-----[無し]

[無し] [無し] [無し]

-----[無し]

と、十字に[無し]が並んでいる。

外側の円は、やはり分割されていて

[武器][盾][鎧][ゲートル][ブーツ] と表示されている。


「装備メニューから武器メニューを選択し、

 先ほど選んだ武器を装備して下さい」

[武器]に触れると、今度は[武器]と書かれた四角いウィンドウが表示された。

そこには[初心者の片手剣]と表示がある。

手で触れると確認も無く、右手に片手剣が現れる。

慌てて柄を握りしめる。


「武器が装備できましたね!

 メニューを消したい場合は、右下から左上になぞって下さい。

 武器をつかってまとめてなぞると、

 全てのメニューを一度に消せますよ。」

左手でメニューの右下から左上へとなぞってみる。

[武器]メニューが消えた。

[装備メニュー]の表示が変わっている。

---------[無し]

[初心者の] [無し] [無し]

[片手剣]

---------[無し]

右手に持った剣で、右下から左上に切り上げてみる。

[装備メニュー]と[メニュー]がいっぺんに消えた。


『へぇ、良くできてるなぁ』

右手に握った剣をブンブンと軽く振ってみる。

剣なんて初めて振ったが、サマになっている気がする。

「準備が出来たら、攻撃の練習をしましょう!

 正面に見えるカカシを攻撃してみてください。」


正面を見ると、いつの間にか一本足のカカシが立っていた。

近寄ってみる。

風がある訳でもないが、左右にかるく揺れている。


とりあえず横殴りに剣を振ってみる。

カカシに当たって剣が止まると思ったのだが、

空気抵抗にも似た抵抗を感じただけで、刃はそのままカカシの胴体を切り抜けた。


次は一歩踏み込んで斜めに斬りつけてみる。

やはり刃はカカシの胴体を切り抜けたが、

感じる抵抗はさっきより重い。


そして視界の隅にメッセージが表示された。

[片手剣の熟練度が上昇:0.00 → 0.04]

「熟練度が上昇しました。

 この世界にはレベルという概念はありません。

 様々な技術の熟練度を向上させ、それらを使いこなすことで

 強くなるっていくのです。

 このカカシでは、熟練度を0.5まで上昇できます。

 色々と試してみましょう。」


何度か斬りつけると熟練度が上がる。

熟練度上昇のメッセージを見ながら、色んな角度から剣を振ってみた。

カカシの脳天からまっすぐに振り下ろしてみると、

キィンッ

という小気味良い音が聞こえた。

「クリティカルヒットしました。

 相手の頭部に攻撃を加えるとクリティカルヒットになり、

 通常より多くのダメージを与えられます。」


キィンッ

キィンッ


『この音は気持ちいいな。ちょっと癖になりそうだ。』


キィンッ

キィンッ


[命中精度の熟練度が上昇:0.00 → 0.04]

「おめでとうございます!

 2つ目の技術の熟練度が向上しましたね。」


キィンッ

キィンッ

キィンッ


[集中力の熟練度が上昇:0.00 → 0.04]

「おめでとうございます!

 3つ目の技術の熟練度が向上しましたね。

 熟練度は様々の方法で向上させることができますので、

 色々な技術を探して向上させて強くなりましょう。」


どれくらい時間が経ったろうか。しばらく夢中になって剣を振ってしまった。

おかげで片手剣と戦闘術の熟練度は0.5まで上昇した。

いつのまにか、どこからか聞こえる声は別のメッセージになっている。

「次は防御の練習です。奥に見えるカカシに近づいて下さい。」

攻撃に夢中になって気づいていなかったが、いつの間にか奥の方にもカカシが立っていた。

そちらに向かって歩き始めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る